こんにちは、福岡のビオハウジング
健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。
今日は、**「軒の出」と「季節ごとの日の入り方」**を、
実際の 日射シミュレーション(6月22日・9月22日・12月22日) を使ってお話しします。
なぜ「軒の出」がそんなに大事なのか?
家づくりの相談を受けていると、
「窓を大きくすると、夏は暑くなりませんか?」
「冬は日差しであったかくしたいけど、夏はまぶしくてイヤ…」
という声を、よくいただきます。
ここで主役になるのが、南面の窓+軒の出です。
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軒の出は、
→ 夏の高い日差しを「上からさえぎる帽子」
→ 冬の低い日差しを「奥まで通してくれるトンネル」 -
窓は、
→ 光と熱を取り込む「入り口」
つまり、「同じ窓」でも、軒の出し方と季節によって、
部屋の奥まで光が入ったり、手前で止まったりが変わるのですね。
その違いを、
今回は 6月22日(夏至付近)・9月22日(秋分)・12月22日(冬至付近) の
3つの日付で比べてみます。今回は赤丸の平屋の断面で日の入りをみてみましょう。

3つの日付で比べる「日だまりの動き」
1)6月22日 ― 真夏の少し手前、太陽が一番高い時期

6月22日前後は、太陽の高さが一年でいちばん高い時期です。
南面の窓に対して、ほぼ真上に近い位置から光が入ってきます。
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軒の出がしっかりあると…
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正午前後の直射日光は、ほとんど軒でカット
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窓の上の方に少し当たる程度で、床まで直射が届きにくい
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室内の光の感じ
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カーテンを閉めなくても、ほどよく明るいのに、ギラギラしない
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反射光がメインなので、「ふんわり明るいリビング」になります。
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ここで大事なのは、
「夏は“日だまり”を作るのではなく、
直射をいかに減らすか が快適さのカギ」
だということ。
同じ南向きの大きな窓でも、
軒が浅いと、床までガンガン日が入って、
室温も、床の温度も一気に上がってしまいます。
2)9月22日 ― 秋分、夏から秋への“ちょうど良い”バランス

9月22日前後は、昼と夜の長さがほぼ同じになる「秋分」。
太陽の高さも、「真夏」と「真冬」のちょうど中間くらいです。
シミュレーションでも、
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午前中〜お昼にかけて
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軒はまだしっかり効いている
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でも、真夏より少しだけ奥まで日が差す
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午後になると
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床に細長い“日だまりゾーン”がのびてくる
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でも、真冬ほど奥までは届かない
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という様子が見えてきます。
この時期は、
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朝晩は少し涼しい
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日中の日差しはまだ力がある
という「ゆらぎの季節」。
軒によって夏ほどの強い直射は避けつつ、
ほどよく日射を取り込めるので、
エアコンを切って、風と日だまりで過ごせる時間が増える
そんな、気持ちのいい季節です。
3)12月22日 ― 冬至、いちばん太陽が低い日

12月22日前後は、一年でいちばん太陽が低くなる冬至のころ。
南面の窓に対して、かなり斜めから光が差し込んできます。
シミュレーションで見ると、
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朝〜昼にかけて
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太陽の角度が低いので、軒の下をくぐって日差しが入る
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窓際の床だけでなく、
部屋の奥の方まで長い“光の帯”が伸びていく
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午後
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日だまりゾーンが、ゆっくりと部屋の中を移動していく
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床・壁・家具がじわじわとあたためられ、
夕方になっても冷えにくくなる
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冬は、外気温が低くても、
晴れた日の南面の日差しは、
“タダの暖房” として大きな力を発揮します。
軒の出があることで、
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夏:直射をカットして冷房負荷を下げる
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冬:低い日差しだけを上手に招き入れて、暖房の助けにする
という、季節ごとのメリハリをつけることができるのです。
同じ窓なのに「ここまで違う」ことを可視化したかった
今回の3枚のシミュレーションは、
どれも同じ、
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南面の大きな窓
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一定の軒の出
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同じ建物・同じ間取り
を前提にしています。
変えているのは、
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日付(6/22・9/22・12/22)
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太陽の高さ・軌道
だけです。
それだけで、
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夏は「日だまりを抑える」絵
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秋は「ほどよく入る」絵
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冬は「ぐっと奥まで届く」絵
と、室内の光の表情がガラッと変わるのが分かります。
口で説明するとどうしても抽象的になりがちですが、
このシミュレーションを見ていただくと、
「あ、軒って“飾り”じゃなくて、
ちゃんと“季節をデザインする部材”なんだ」
と、感覚的に伝わりやすくなります。
軒の出がつくる「暮らしの違い」
● ① 体感温度と光の質が変わる
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夏
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ギラギラした直射が減るので、
同じ室温でも体感がかなりラクになります。
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冬
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日だまりで足元があたたまるので、
エアコンの設定温度を1〜2℃下げても快適に感じやすい。
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● ② 光のリズムが、暮らしのリズムになる
朝、東の窓からの光で目を覚まし、
日中は南の窓からの柔らかい光で過ごし、
夕方は西の空の色だけを少し楽しむ。
その中で、**南面の軒と窓は「一日の主役舞台」**です。
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子どもが、冬の午前中の日だまりで積み木をする
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猫が、午後の細長い光の帯を追いかけて寝転ぶ
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夜になれば、日は落ちて、照明が主役になる
そんな 「光のリズム」そのものを設計できるのが、
軒の出+窓の設計だと感じています。
ビオハウジングで大事にしている考え方
ビオハウジングでは、
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断熱・気密などの「性能」
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構造・耐震などの「安心」
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そして、光と影・風と微生物がつくる「空気感」
この3つをセットで考えています。
その中でも、
南面の軒の出と窓の取り方は、
「四季をどう暮らしたいか」 を形にする大事なテーマ
だと思っています。
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「冬の日だまりがほしい」
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「夏はカーテンを閉めっぱなしにしたくない」
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「西日だけはどうしても避けたい」
など、暮らし方の要望はご家族ごとに違います。
その声を聞きながら、
今回お見せしたような 日射シミュレーションを使って、
光の入り方を一緒に確認しながら設計を進めていくことも多いです。
おわりに ― 軒の出は「季節と仲良くなるための装置」
同じ家、同じ窓でも、
6月22日・9月22日・12月22日では、
こんなにも光の入り方が違います。
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夏は「守ってくれる帽子」
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冬は「日だまりを招くトンネル」
そんなふうに、
軒の出は季節との“通訳”のような存在です。
これから家づくりを考えている方は、
ぜひ図面を見るときに、
「この南の窓、6月22日と12月22日で、
光はどこまで入るんだろう?」
と、一度想像してみてください。
そして、もしよければ、
ビオハウジングのシミュレーション画像も、
家づくりのイメージづくりに役立てていただけたら嬉しいです。
Q1. 軒の出はどのくらい出せば良いですか?
軒の出は、地域の緯度・窓の高さ・軒の位置関係によって「ちょうど良い長さ」が変わります。
目安として、南面の大きな窓の場合、夏の高い日差しを遮りつつ、冬の低い日差しを奥まで入れたいので、図面と日射シミュレーションを使って「6月22日と12月22日にどこまで光が入るか」を確認しながら決めるのがおすすめです。
Q2. すでに建っている家でも、日差しの入り方は調整できますか?
はい、後からでも調整は可能です。
軒の出を大きく変えるのは少し大工事になりますが、
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外付けシェード・オーニングの追加
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窓の上に小さな庇(バイザー)を付ける
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落葉樹の植栽で、夏だけ日差しを和らげる
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ガラスを遮熱タイプに変更する
といった方法で、夏の日射を減らしつつ、冬の日だまりは残す工夫ができます。
Q3. 東西の窓にも軒の出は有効ですか?
東西の窓にも一定の効果はありますが、南面ほど万能ではありません。
とくに西日は、太陽の位置が低く、横から強く差し込むため、軒だけでは防ぎきれないことが多いです。東西面では、
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窓の大きさを少し控えめにする
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外付けブラインドやルーバーを併用する
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西側は特に、窓の位置や部屋の用途を工夫する
といった対策とセットで考えるのが現実的です。
Q4. 福岡・北九州のような地域では、南面の軒と窓をどう考えれば良いですか?
福岡・北九州は、夏の日差しが強く、冬もある程度の日射を暖房に活かせる地域です。
そのため、
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南面の窓と軒の出を「日射コントロールの主役」として設計する
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夏至(6月22日)と冬至(12月22日)のシミュレーションを確認し、
「夏は直射を減らし、冬は日だまりをつくる」状態を目標にする -
断熱・気密・窓性能(ガラス種・サッシ)と合わせて総合的に検討する
というフレームで考えると、四季を通じて心地よいリビングがつくりやすくなります。