部屋ごとのカーテン計画|リネンと防炎・形状記憶の上手な組み合わせ方
こんにちは、福岡のビオハウジング
健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。
ここまでの2回で、
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第1回:リネンカーテンとポリエステルの違い(静電気・ホコリ・風合い)https://biohousing.jp/spec_blog/linen-curtain-static-electricity/
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第2回:防炎加工と形状記憶の話(薬剤と空気のバランス)https://biohousing.jp/spec_blog/curtain-flame-retardant-shape-memory/
をお届けしてきました。
「仕組みはなんとなく分かった。
じゃあ、わが家では具体的にどう選べばいいの?」
というところを、今回は部屋ごとのカーテン計画という形でお話してみます。
「全部リネンにしなきゃいけない」でもなく、
「全部既製のポリエステルでいいや」でもなく、
“どこに何を優先してあげるか”を決めていく時間だと思って読んでいただけたら嬉しいです。
カーテンは「窓+暮らし方+空気」で考える
1.カーテン選びで大切にしたい3つの軸
カーテンを選ぶとき、よく出てくるのは
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色・柄
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価格
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遮光レベル
あたりですが、家づくりの現場から見ると、
もう少しこんな軸も足して考えてあげるとバランスが良くなります。
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① 空気の質
静電気の少なさ/ホコリ・花粉の付き方/におい・化学物質 -
② 光と温度
まぶしさ・朝日の入り方・西日・断熱 -
③ 安全性と暮らし方
火との距離/子どもの年齢/ペットの有無/開け閉めの頻度
この3つを、部屋ごとにどこまで優先するかを決めると、
「なぜリネンなのか」「どこは防炎や形状記憶が助けになるのか」が見えやすくなります。
部屋ごとのカーテン計画①
子ども部屋 ―― 「空気」と「安心感」をいちばん優先
2-1 子ども部屋で大事にしたいこと
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長時間いる(勉強・遊び・寝る)
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床に近い高さで過ごす
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手でカーテンをさわったり、かくれたりする
…つまり、カーテンと“密に付き合う”部屋です。
ここでは、
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静電気が少ないこと
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ホコリ・花粉がたまりにくいこと
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においがきつくないこと
このあたりを大切にしたいところです。
2-2 おすすめの組み合わせ
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厚地カーテン:リネン or 綿麻(非形状記憶・非防炎)
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色はベージュ〜生成など、やわらかいトーン
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遮光は「真っ暗」よりも、朝が分かる程度の2〜3級くらいが多くのご家庭に合います。
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レース:リネンレースまたは綿レース
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日中の光をやわらかく散らしてくれるもの
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日射がきつい場合は、
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窓枠内にロールスクリーン(遮熱タイプ)をプラス
→ カーテンはあくまで「空気と光の調律役」として軽やかに
2-3 こんなご家庭にぴったり
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花粉症・喘息・アレルギーが気になる
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子どもがカーテンで「基地ごっこ」をしそう
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夜寝る前に、少し灯りを落として本読み時間をつくりたい
→ 子ども部屋ほど、リネンカーテンの静電気の少なさ&風合いが活きる場所はありません。
部屋ごとのカーテン計画②
主寝室 ―― 「よく眠れる暗さ」と「呼吸しやすい空気」
3-1 寝室で気をつけたいポイント
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一日の3分の1は、この部屋の空気を吸っている
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大人ほど「におい」「空気の重さ」に敏感になりがち
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真っ暗すぎても、朝起きづらくなることも
ここでは、
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空気の軽さ
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朝日の入り方
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夫婦での温度・光の感じ方の違い
をどう整えるか、がテーマになります。
3-2 おすすめの組み合わせ
パターンA:しっかり遮光+リネンで整える
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窓枠内:遮光ロールスクリーン(ポリエステルでもOK)
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室内側:リネンの厚地カーテン+リネンレース
→ 夜はロールスクリーン+カーテンで真っ暗に
→ 朝はロールスクリーンを上げて、リネンレース越しのやわらかな光で目覚める
パターンB:そこまで真っ暗でなくていい場合
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厚地:リネン or 綿麻の少し厚め
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レース:リネンレース
→ 街灯の明かりや月明かりはほんのり感じつつ、
「それがかえって落ち着く」という方も多いです。
3-3 防炎・形状記憶はどうする?
寝室は火の気がほとんどなく、
長時間からだを預ける場所なので、
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防炎:基本は不要(規約で決まっていれば別)
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形状記憶:できれば使わない
くらいの割り切りで良いと思います。
「いつもピシッと」はリビングに任せて、
寝室は多少シワがあっても、空気が軽いことを優先。
そんな住み分けが心地いいです。
部屋ごとのカーテン計画③
リビング・ダイニング ―― 家族がいちばん集まる場所
4-1 リビングで考えたいこと
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南向きの大きな窓で、夏の日射がきつい
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日中は明るく、夜は外からの視線を切りたい
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来客もあるので、見た目も大事
ここは、
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光・熱のコントロール
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見た目(インテリアとしての役割)
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掃除のしやすさ
をどう両立させるか、がポイントになります。
4-2 おすすめの「二重構成」
外側(窓側):機能担当
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ポリエステル厚地(必要なら形状記憶)
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遮光・遮熱・洗濯のしやすさ優先
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もしくは、外付けブラインドやロールスクリーン
室内側:空気と光の担当
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リネンレース
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日中はこれだけで過ごす時間を多めに
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光を散らし、空気の静電気を抑えてくれる役目
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→ こうすると、
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機能とコストは外側でしっかり押さえつつ
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室内側ではリネンの風合いと空気感を楽しめます。
4-3 暖房との関係(ストーブや暖炉がある場合)
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薪ストーブ・石油ストーブが近くにある
→ カーテンを短めに/布を垂らさない窓を検討
→ 必要なら、防炎ロールスクリーン+リネンレースなどの組み合わせも
リビングは、**安全性と心地よさのバランスをとる“調整役”**のような場所です。
部屋ごとのカーテン計画④
キッチン・水まわり ―― 「燃やさない」「汚れをためない」
5-1 キッチンで優先したいこと
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火に近い
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油ハネ・水ハネがある
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開け閉めの回数が多い
ここは正直、リネンの出番は少なめです。
5-2 現実的な選択肢
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小さな窓
→ 不燃・防炎ロールスクリーン
→ アルミブラインド -
フードの近く
→ そもそも布を垂らさない高窓・FIX窓にしておくのが理想
「キッチンだけは“機能重視の窓まわり”で割り切る」くらいが、
結果的に安全で、掃除もラクです。
6.予算配分の考え方 ―― どこに「いい布」を集中させるか
全部の窓をリネンに、というのは、
どうしても金額が大きくなります。
おすすめは、
「空気の影響が一番大きい部屋」から、順番にリネンを入れていくこと。
優先順位のイメージは、
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子ども部屋
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主寝室
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リビングの室内側レース
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書斎・ワークスペース
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そのほかの部屋
という順番です。
7.全部やり替えなくてもOK。「一枚だけリネン」から始める
いきなり全部変えなくても、
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既存の厚地カーテンはそのまま
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室内側に1枚、リネンレースを足してみる
だけでも、光と空気の質がガラッと変わることがあります。
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朝、レースだけ閉めてみる
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夜、厚地を開けてレースだけにしてみる
その感覚を味わってから、
「次は寝室もリネンにしてみようか」
と、少しずつ広げていくのも良い流れです。
8.3回シリーズを通して伝えたかったこと
3回に分けてお話してきたのは、じつはとてもシンプルなことです。
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カーテンは、ただの「目隠し」でも「飾り」でもなく、
**空気と光を調える、大事な“布の建材”**であること。 -
防炎や形状記憶は、
「便利さ」と「安全」を支えてくれるありがたい技術だけれど、
家じゅうどこにでも一律で使わなくてもいいこと。 -
とくに寝室や子ども部屋では、
リネンのような自然素材で空気を軽くしてあげる選択肢があること。
「どこに何を優先するか」を自分なりに決めていけば、
カーテン選びは、“インテリア選び”から“暮らし方の設計”に変わっていきます。
もし、窓まわりのことで迷っているところがあれば、
図面や写真を見ながら一緒に考えることもできますので、いつでもご相談ください。