本当は「壁の中まで木」で包みたい。ウッドファイバー断熱への憧れと、いまセルロースを選んでいる理由|福岡・北九州の注文住宅
─理想100点と、現実の90点のあいだにある家づくりの話-
こんにちは、福岡のビオハウジング
健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。
正直に言うと、ぼくが「自分の家だけ」を考えるなら、
- 外側はウッドファイバーでどっしり包んで、
- 内側も木質断熱と漆喰で、
- “木と木の繊維の外皮”にしたい。
というのが本音です。
- 熱容量(熱をため込む力)が大きくて
- 調湿もしてくれて
- 材料そのものが「木」由来
そんなウッドファイバーで、家を丸ごと巻いてあげたい。
でも、見積りを作ると現実に引き戻されます。
「ここまで断熱にかけると、他の大事なところを削らざるを得ないな…」
そんなモヤモヤを抱えながら、今の**「セルロース+モイス+EPS+漆喰」**という仕様にたどり着きました。
今日は、
- 本当はウッドファイバーを使いたい理由
- それでもセルロースを標準にしている理由
- 理想100点と、現実の90点のあいだにある考え方
を、少し肩の力を抜いてお話ししてみます。

1. 失敗というか、最初の「理想の押しつけ未遂」の話
● あるプランで、全部ウッドファイバーにしてみた
数年前、あるお客様の計画で、ぼくはこっそり「夢の仕様」を組んでみました。
- 外側の外張り断熱:全面ウッドファイバー
- 柱間:木質繊維
- 内装:漆喰+無垢の床
- 気密:C値0.2クラスを目標
自分の中では、
「これが”発酵する家 フルモデル”だ!」
とワクワクしながら、断面図を描いていたんです。
● でも、見積りに数字を入れてみたら…
概算見積りを出してみると、
- 断熱材だけで、標準仕様よりかなりのプラス
- 外壁周りの下地や納まりも、手間とコストがアップ
その分、
- キッチンやお風呂のグレード
- 造作家具や、ちょっとした外構
- 将来のメンテナンス費用のバッファ
どこかを削らないといけない。
打ち合わせで、お施主さんと一緒に数字を見ているとき、ぼくの頭の中には、
「これ、本当に”暮らしの全体”としてベストなんだろうか?」
という違和感が浮かんできました。
2. なぜうまくいかなかったのか?──原因は「部分最適」
あのときのプランがしっくり来なかった理由は、あとから振り返るととてもシンプルでした。
● 「断熱材としての理想」は100点。でも…
ウッドファイバーのような木質断熱材は、
- 熱容量が大きい(熱をため込んで、ゆっくり放つ)
- 調湿性がある(木の繊維が湿度の揺れをやわらげる)
- エコロジカルな素材としての魅力も大きい
とても魅力的です。
でも、そのときのぼくは、
- 「外皮の理想」だけを100点にしようとしていた
- 「暮らし全体」や「予算」という環境を、あまりちゃんと見れていなかった
つまり、
断熱材という”パーツ”の最適化に夢中になって、家計や暮らしという”全体の環境”とのバランスを見失いかけていた
というのが、本当のところでした。
3. ウッドファイバーで、本当は何を叶えたいのか?
では、なぜそこまでウッドファイバーに惹かれるのか。言葉にしてみると、ぼくが欲しいのは「スペック」よりも、
● ① 熱の「たまり方」のゆるやかさ
- 夏の昼、じわっと熱を受け止めて、夜に向けてゆっくり吐き出してくれる
- 冬の昼、日射で温まった熱を抱えて、夜までじんわり保ってくれる
つまり、
急に暑くならず、急に寒くならない「熱のクッション」
としての役割です。
● ② 木に包まれているという安心感
- 外から見えなくても、「家の外皮が木質の材料で包まれている」という感覚
- それが、身体のどこかでホッとする。
これはもう、数字には乗りにくい感覚ですが、ぼく自身の身体が**「そういうものを求めている」**感じがあるんです。
4. そこからの再設計:「セルロース+モイス+EPS+漆喰」という落としどころ
いろいろ悩んだ結果、今のビオハウジングの標準仕様は、こんな外皮構成に落ち着いています。
● 壁のイメージ(内 → 外)
- 漆喰仕上げ(調湿・アルカリ性・やわらかい光の反射)
- ジョイントメッシュ+パテ処理済み石膏ボード(下地+”弱い気密層”)
- セルロースファイバー(紙由来の断熱材・吸音・熱容量)
- モイス(高調湿でアルカリ性の耐力面材・ここで「主気密」)
- 1.5〜2mmの微小空気層(キャピラリーブレイク)
- EPS外張り断熱(熱橋カット・外側からの熱ストレスを軽減)
- STO、親水性・高透湿の塗り壁(雨が流れやすい・表面が早く乾く)
● この組み合わせで、どこまでウッドファイバーに近づけているか
熱容量の確保
- セルロース+木構造+モイス+漆喰で、壁全体としての「質量(マス)」はかなり大きい
調湿と空気のしっとり感
- セルロース(紙)+モイス(鉱物系)+漆喰(石灰)
→ どれも水蒸気を吸って吐ける素材
静けさ
- セルロースの吸音性+C値0.2の気密で、雨音・車の音が「遠くのザー…」くらいになる
ウッドファイバーで「こうなってほしい」と思っていた世界に、別ルートからかなり近づいている感覚があります。
5. それでも、ウッドファイバーの夢は心の引き出しに入れてある
とはいえ、ぼくの中でウッドファイバーの夢が消えたわけではありません。
● 標準仕様:セルロース+モイス+EPS+漆喰
- 多くのご家族にとって、「性能・体感・コストのバランスが良い90点の答え」
- 予算の中で、断熱・耐震・仕上げ・設備・メンテナンス性などをトータルで整えやすい
● 理想仕様:ウッドファイバーを使った「フル木の外皮モデル」
いつか、
「竹森さん、せっかくならフルで木の外皮仕様でやってみましょう」
と言ってくださるお施主さんと出会えたら、一棟、コンセプトモデル的にチャレンジしたい仕様でもあります。
屋根だけ、道路側の外壁だけ、など部分採用から始めるのも、現実的な一歩かもしれません。
今は、
- 「標準仕様=現時点でのベストアンサー」
- 「ウッドファイバー=北極星としての理想」
という位置づけで、どちらも大事に心の中に置いています。
6. お施主さんにお伝えしたいこと:「何にお金を使いたいか?」が一番大事
もし、あなたが今、断熱材や仕様で迷っているとしたら…
ぼくからの問いはとてもシンプルで、
「何にお金を使いたいですか?」
ということです。
- とにかく電気代を下げたい
- 夏も冬も、エアコン弱運転でゆるく暮らしたい
- 子どもがぐっすり眠れる静けさがほしい
- できれば、自然素材で包まれていたい
その優先順位によって、
- 発泡系断熱材がメインの家が合う方もいるし
- セルロース中心の家がしっくりくる方もいるし
- いつか、ウッドファイバーを選ぶ方も出てくるかもしれません
ぼくの役割は、
「どの選択肢が正解か」を決めることではなく、
「あなたの価値観に合う組み合わせ」を一緒に見つけること
だと思っています。
7. 福岡・北九州で、「理想100点」と「現実の90点」の間を一緒に考えたい方へ
- ウッドファイバーやセルロースのこと、もっと詳しく知りたい
- 断熱性能だけでなく、「音」「湿度」「メンテ費」まで含めて考えたい
- 自分たちの予算の中で、どこまで”木質的な家”に寄せられるか知りたい
そんな方は、どうぞ気軽にご相談ください。
- セルロース+モイス+EPS+漆喰の実際の住み心地
- C値0.2クラスの家での、音や温度の体感
- 将来的にウッドファイバーも視野に入れた、「段階的な家づくり」の考え方
なども、図面と体感の両方からお話しできると思います。
「いい話だった」で終わらせず、
「今の自分たちにとって、どんな外皮がちょうどいいのか?」
を一緒に整理する時間を取れたらうれしいです。
FAQ(よくある質問)
Q1. ウッドファイバーは、やっぱりセルロースより良い断熱材ですか?
「良い・悪い」というより、役割と世界観の違いだと感じています。ウッドファイバーは木そのものの熱容量・調湿性があり、「外側も木で包みたい」という思想にマッチします。セルロースは紙由来の断熱材で、コストと性能のバランスが良く、音の静けさにも強い。どちらが合うかは、暮らし方と予算、価値観で変わってくる部分です。
Q2. ビオハウジングで、ウッドファイバー仕様の家を建てることはできますか?
現時点では標準仕様ではありませんが、ご希望があれば検討は可能です。ただし、材料費や納まりの手間が増えるため、他の部分(設備・仕上げ・外構など)とのバランスを一緒に整理しながらのご提案になります。
Q3. 今の「セルロース+モイス+EPS+漆喰」仕様でも、十分暖かくて静かですか?
はい、性能としても体感としても、ぼく自身が自信を持っておすすめできる仕様です。
- C値0.2クラスの高気密
- セルロース+モイス+漆喰による熱容量と調湿
- セルロース断熱による静けさ
を組み合わせることで、**「温度の揺れが小さい」「外の音がやわらかくなる」**という感想を多くいただいています。