「全館空調なのに落ち着かない家」が生まれる本当の理由
こんにちは、福岡のビオハウジング 健康オタクの住宅設計士 竹森哲也です。
最近、福岡・北九州でも「全館空調付きの注文住宅」が増えてきました。
ところが、お引越し後にこんな声を聞くことがあります。
「全館空調だから快適なはずなのに、風が強くていつもスースーする」
「音が気になって、エアコンが止まるとホッとするんです…」
設備としては“立派な全館空調”なのに、なぜか心と身体は休まらない。
その原因は、全館空調そのものよりも「断熱性能」とのバランスの悪さにあることが多いと感じています。
今日は、福岡・北九州の気候と、エアコン・断熱性能・全館空調の関係を、できるだけやわらかくお話ししてみます。

1. 全館空調なのに「風がつらい」家のリアル
■ よくある入居後のつぶやき
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リビングも廊下もトイレも、たしかに温度は保たれている
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でも…
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いつもどこかでゴーッという機械の音がしている
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吹き出し口の近くに立つと、髪が揺れるくらいの風を感じる
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ソファの位置を「風の当たらない場所」に合わせて動かしてしまう
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温度計を見ると「20〜24℃」でちゃんと管理されている。
それなのに、「なんだかずっと落ち着かない」。
この違和感の正体は、“エアコンががんばりすぎている”全館空調です。
■ なぜそんなことが起きるのか?
結論から言うと、
断熱性能が足りない家に、全館空調だけを乗せてしまっているから
です。
家の外皮(壁・屋根・床・窓)が熱をどんどん逃がしてしまう器なのに、
「家じゅう快適にしたい」と全館空調を回すと、エアコンはこうなります。
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失われていく熱を取り戻そうとして
→ 常に“強風モード”寄りで回り続ける -
でも吹き出し温度には限界があるので
→ 温度差だけでは追いつかず、風の量・回転数を上げてカバーする
結果として、
**「温度は保たれているけれど、風と音が不快な家」**が出来上がってしまいます。
2. 断熱が弱い家で全館空調をすると何が起きる?
① 体感温度が下がる「風の冷え・風の乾燥」
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冬:
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強い風が当たると、肌表面の熱がどんどん奪われる
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室温は22℃でも、体感温度はそれより低く感じる
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夏:
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強い冷風で一気に冷やされ、手足だけ冷えたり、喉がカラカラになる
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「数字上の室温」と「身体が感じている体感温度(体感温度)」の差がじわじわストレスになり、
**「なんか落ち着かない」「エアコンの風が苦手」**という声につながっていきます。
② 音のストレスが増える
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風量アップ=ファンの回転数アップ
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24時間運転の全館空調だと、
→ “常に機械の音に囲まれている”状態になりやすい -
眠るとき、静かな夜ほど、耳について気になる
身体がリラックスしたいタイミングで、
ずっと「ゴーッ」という音が耳に入ってくると、
自律神経もなかなか休まりません。
③ 光熱費もじわじわ増える
断熱性能が低い家は、外に逃げる熱(=熱損失)が多いので、
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冬:外へ外へと熱が逃げていく
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夏:外からの熱がどんどん入ってくる
それを埋めるために、
エアコンは“量と時間”でがんばるしかありません。
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風量を上げる
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動いている時間も長くなる
結果として、電気代もじわじわ増えてしまうのです。
3. 福岡・北九州の気候だと、がんばりすぎ問題はさらに深刻に
■ 夏:湿度が高いほど、エアコンは苦しくなる
福岡・北九州の夏は、温度だけでなく**湿度(ジメジメ感)**がとても高い地域です。
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除湿のためにエアコンは長時間運転になりがち
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断熱性能が低い家だと、
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外から熱がどんどん入る
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室内で発生する湿気も多い(お風呂・料理・室内干し など)
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→ それを一手に引き受ける全館空調は、
「強風+長時間」という二重のがんばりを強いられます。
■ 冬:数字以上に「じわじわ冷える」地域
九州だから「そこまで寒くない」と思われがちですが、
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朝晩はしっかり冷える
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風が吹くと体感温度は一気に下がる
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窓や外壁が冷えると、家の中にいてもじんわり体温を奪われる
断熱性能が十分でないと、
**ヒートショック(急激な温度差)**のリスクも高まりやすくなります。
本来、全館空調はこうした温度差を減らすための設備ですが、
その前提となる「器(断熱・気密・窓性能)」が整っていないと、
エアコンが身体の負担を増やしてしまう皮肉な結果になりかねません。
4. 「静かな全館空調」にするための3つの優先順位
優先順位①:まずは“器”の性能を上げる(断熱・気密・窓)
全館空調の前に、家の外皮性能を整えることが最優先です。
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断熱性能(Ua値):
外へ逃げていく熱の少なさ -
気密性能(C値):
すき間の少なさ -
窓の性能・大きさ・向き:
夏の日射を遮り、冬の日射を取り込む
ビオハウジングでは、屋根部分にはセルロースファイバー(新聞紙を再利用した断熱材)をたっぷり吹き込み、
床には無垢材(天然木)のフローリング、壁には漆喰(塗り壁)などの自然素材を組み合わせて、
**「熱が逃げにくく、室内の体感温度が安定しやすい自然素材の家」**を目指しています。
優先順位②:空気の流れを設計する(間取り+換気)
次に大事なのが、空気の道筋です。
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吹き抜けや階段の位置
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廊下の幅と抜け方
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換気システムの給気・排気の位置とバランス
これらを整えることで、
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1階も2階も温度差が小さい
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廊下やトイレ・洗面脱衣室も「ひやっ」としない
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室内干しの洗濯物が、においを残さずサラッと乾く
そんな**空気環境(室内空気)**をつくる下地ができます。
優先順位③:最後に「全館空調」の方式と能力を選ぶ
器と空気の道筋が整ったうえで、ようやく
「この家の熱負荷(必要な冷暖房の量)なら、
どんな全館空調が“いちばん静かでやさしいか?」
を考える段階に入ります。
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小屋裏エアコンで全館空調にするのか
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床下エアコン+吹き抜けで穏やかに巡らせるのか
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壁掛けエアコン数台を、計画的に配置するのか
断熱性能が高い家ほど、
「小さなエアコンを、静かに長く回す」ことができるようになります。
5. 断熱性能が高い家だと、同じ全館空調が“別物”になる
断熱・気密・窓・空気の流れを整えたうえで全館空調を組むと、暮らしはこう変わります。
■ 風を「感じない」のに、家じゅうが同じようにあたたかい/涼しい
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吹き出し口の下にいても、髪が揺れるほどの風は来ない
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エアコンの存在を忘れるくらい、空気が静かに入れ替わっている
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冬の朝、廊下も脱衣室もリビングと同じような体感温度で、
子どもが裸足でトコトコ歩いても平気
■ 音よりも、子どもの声と生活の音が主役になる
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テレビのボリュームを上げなくても会話が聞こえる
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夜、寝室に入るときに
「あ、静かだな」とほっとする -
聞こえてくるのは、
空調の音ではなく、木の床を歩く足音や、鍋のコトコトいう音
■ “頑張らないエアコン”だから、身体にも家計にもやさしい
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弱運転でじわっと温度を整えるので、身体への負担が少ない
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熱が逃げにくいから、電気代も安定しやすい
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結果として、
「空調のことをあまり考えずに、暮らしに意識を向けられる家」になっていきます。
6. ビオハウジングが大事にしている順番
福岡・北九州で健康住宅をつくる工務店として、
ビオハウジングではつねに、次の順番を意識して家づくりをしています。
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器(断熱・気密・窓・熱容量)を整える
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セルロースファイバーの屋根断熱
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無垢材フローリング
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漆喰の塗り壁
など、調湿と体感温度にやさしい自然素材をベースに。
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空気の質と流れを設計する
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換気経路
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室内干しの場所
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花粉・PM2.5・においへの配慮
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そのうえで、最小限で静かな全館空調を選ぶ
「全館空調を入れるから快適なのではなく、
きちんと設計された器があるから、
小さな全館空調でも静かに快適になる」
そんな家づくりを、福岡・北九州の注文住宅で広げていけたらと思っています。
7. まとめと、ご相談のご案内
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断熱性能が低いまま全館空調を入れると、
→ エアコンががんばりすぎて、風と音のストレスが増える -
福岡・北九州のように湿度も高く、冬もじわじわ冷える地域では、
→ なおさら「まず断熱・気密・窓」が大切 -
きちんと設計された器のうえに全館空調を乗せると、
→ **“風を感じないのに、空気が整っている家”**が手に入る
「うちの計画は、断熱性能と全館空調のバランス、大丈夫かな?」
「エアコンの風や音に敏感な家族がいるけれど、どこを優先すべき?」
そんなご不安があれば、
具体的なプランや図面を見ながら、熱負荷の考え方や全館空調の向き・不向きを一緒に整理させていただきます。
福岡・北九州で、
「静かで、風を感じない、でもちゃんとあたたかく涼しい自然素材の家」をお考えの方は、
どうぞお気軽にビオハウジングにご相談ください。
FAQ(人が読む形)
Q1. 断熱性能が低い家に全館空調を入れても意味はありますか?
A1. まったく意味がないわけではありませんが、エアコンががんばりすぎて「風が強い」「音がうるさい」「電気代が高い」といった別の問題が出やすくなります。本来の全館空調は、断熱・気密・窓性能が整ったうえで「静かに小さく回す」ことで快適性を発揮する設備です。
Q2. 福岡・北九州の気候で全館空調を選ぶとき、いちばん大事なポイントは?
A2. まず「夏の蒸し暑さ」と「冬のじわじわ冷え」に対して、どこまで断熱性能を高めるかを決めることです。そのうえで、熱負荷を計算し、最小限の能力で家じゅうをじわっと温度・湿度コントロールできる全館空調の方式を選ぶのがポイントです。
Q3. すでに全館空調付きの家に住んでいますが、風と音がつらい場合はどうすれば?
A3. まずは運転モードや風量設定の見直し、それでも難しければ、窓まわりの断熱(内窓の追加など)や隙間の改善、吹き出し位置の調整など「外皮側・空気の流れ側」でできる対策を検討するのがおすすめです。根本から見直す場合は、工務店や設計士に建物の断熱・気密性能の現状を診断してもらうとよいと思います。
Q4. 自然素材の家と全館空調は相性がいいですか?
A4. 無垢材の床や漆喰の塗り壁、セルロースファイバーなどの断熱材は、調湿性が高く、室内の体感温度を安定させる助けになります。全館空調と組み合わせることで、風を感じにくく、空気のにおいも穏やかな、より“身体になじむ空気環境”をつくりやすくなると感じています。