住宅展示場のエアコン、多すぎませんか? 空調勉強会の「宿題」から見えたこと|福岡・北九州の工務店目線で解説
空調の勉強会で出た「ちょっと変わった宿題」
先日、同業の工務店さんや設計者が集まる空調の勉強会に参加しました。
テーマは、「設備の前に、まず家そのものを整える」という内容です。
その中で、講師の先生からこんな“宿題”が出ました。
「今度、住宅展示場に行ったら、
各社のエアコンの室外機の台数を数えてきてください。」
正直、最初は「そんなところを見る勉強会、初めてだな」と思いました。
でも、同時にワクワクもしました。
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室外機って、普段あまり意識して見ない
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でも“家の中をどう冷やしているか・暖めているか”の結果そのもの
だからです。
せっかくなので、福岡・北九州エリアの展示場だけでなく、
全国の工務店さんが共有しているスプレッドシートも見ながら、
**「住宅展示場のエアコン台数」**をちゃんと眺めてみることにしました。
今日は、その勉強会の宿題の結果報告と、
そこから見えてきた「家の性能と空調計画」のお話をしたいと思います。

宿題の結果報告:住宅展示場のエアコン台数、実際どうだったか?
全国の工務店さんが入力している共同のスプレッドシートと、
自分の目で見た展示場の情報を合わせて眺めてみると、
大手ハウスメーカーの住宅展示場では、
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エアコンの室外機が 7〜10台前後
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中には 10台を超えるケース も
という例が決して少なくありませんでした。
もちろん、展示場ごとに延床面積や間取りはバラバラですし、
「台数が多い=悪い」と短絡的に言えるものではありません。
ただ、一つの“傾向”として見えてきたのは、
「建物の性能や計画よりも、
エアコンの“数と力”で快適さをつくっている展示場が多いのでは?」
ということでした。
ここから先は、
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なぜ展示場ではエアコンの台数が増えやすいのか
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暮らしの家では、どう考えた方が良いのか
を、福岡・北九州の自然素材の家・健康住宅づくりの視点から整理してみます。
なぜ展示場はエアコンの台数が増えるのか?
1. 展示場ならではの「映える条件」
住宅展示場のモデルハウスは、どうしても「見栄え優先」になりがちです。
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大きな吹抜け
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掃き出し窓や大開口サッシ
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部屋数も多く、あちこちにつながる廊下
こうしたつくりは、確かにカッコよくてワクワクします。
でも建築の目線で見ると、外の暑さ・寒さの影響を受けやすいつくりでもあります。
福岡・北九州のように
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夏は蒸し暑く
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冬は底冷えする
という地域では、なおさらです。
2. 「すぐ効く」ことを優先した空調計画
展示場は、1日の中でも
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出入りする人の数が多い
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ドアの開閉も多い
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滞在時間も短い
という特殊な場所です。
そのため、来場したお客様に
「わぁ、涼しい」「ここは暖かいですね」
と数分で感じてもらうために、
各部屋・各ゾーンごとにエアコンを設置しがちです。
その結果…
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ゾーンごとに室外機が増える
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「とりあえず、この部屋にも1台」と足していく
→ 気づけば、室外機が10台近くということも。
3. 「建物性能より機械で調整」の発想
本来は、
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断熱・気密(Ua値・C値)で熱の出入りを減らす
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窓と日射遮蔽で太陽の入り方を整える
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換気と空気環境を整える(健康住宅としての室内空気)
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そのうえで、必要最小限のエアコンで穏やかに冷暖房
という順番で考えたいところです。
ところが展示場では、多くの場合、
「建物は豪華に、ガラスも大きく。
その代わり、エアコンをたくさん付けて対処」
という逆の順番になりがちです。
空調の勉強会の先生が「台数を数えてみてください」と言ったのは、
この“発想の順番”に気づいてほしかったからだと、今はよく分かります。
エアコン台数が多い家で起こりがちなこと(暮らし目線)
「エアコンの台数が多い=快適」とは限りません。
むしろ、暮らしの中ではこんなことが起こりやすくなります。
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風が強くて落ち着かない
各エアコンの能力が必要以上に大きく、風当たりが強くなりがちです。 -
音が気になる
室内機の運転音、室外機の低い唸り音があちこちから聞こえます。 -
部屋ごとの温度差が大きい
つけている部屋と消している部屋で、体感温度がガラッと変わります。 -
メンテナンスの手間とコストが増える
フィルター清掃・故障・買い替えの“リスクの数”が、そのまま増えます。 -
光熱費の管理が難しい
家族それぞれが好きな温度にしてしまい、トータルのエネルギー量が把握しづらくなります。
健康住宅として見ても、
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風が強いと乾燥しやすい・喉がイガイガする
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冷房の当たり方次第で頭痛・だるさが出る人もいる
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部屋ごとの温度差でヒートショックのリスクが増える
など、「室内空気」や「体感温度」の面でマイナスになることも少なくありません。
エアコンの“数”よりも先に整えたい4つのポイント
ここからは、「展示場の台数」に振り回されずに、
福岡・北九州で暮らしやすい注文住宅をつくるために
先に整えておきたいポイントを4つだけに絞ってお話しします。
1. 断熱性能と体感温度
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壁・屋根・床の断熱性能(Ua値)
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熱容量の大きい断熱材(セルロースファイバーなど)
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屋根断熱の厚みや施工方法
これらをきちんと整えてあげると、家全体の体感温度が穏やかになります。
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冬:床や壁の表面温度が下がりにくく、底冷えが減る
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夏:屋根からの熱の侵入が抑えられ、2階がムッとしにくい
結果として、**「弱い風のエアコンを少ない台数で」**運転できるようになります。
2. 気密と換気で「空気環境」を安定させる
C値(隙間の少なさ)と換気計画は、エアコンの効きにも直結します。
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すき間が多い → 冷暖房した空気が逃げる
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換気が適切でない → 結露・カビ・におい・PM2.5などの影響が出やすい
ビオハウジングでは、自然素材の家にこだわると同時に、
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計画換気で室内空気をゆっくり入れ替える
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無垢材や漆喰(塗り壁)の調湿性を活かす
ことで、エアコンの負担を減らしながら、
空気環境と健康住宅としての質を整えていきます。
3. 日射遮蔽と窓計画
福岡・北九州のような地域では、夏の日差しがとても強い一方で、
冬の日射は貴重な暖房エネルギーになります。
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夏:庇(ひさし)・窓の位置・外付けブラインドなどで日射を遮る
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冬:南面からの日射を上手に取り込む
この「日射の出入り」をきちんと設計することで、
エアコンの必要エネルギーそのものを減らすことができます。
4. 間取りとゾーニング
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各部屋を細かく区切るのではなく、
「家族の生活ゾーン」を意識して空間をまとめる -
吹抜けや大空間をつくるときも、
熱が逃げにくい形や空気が循環しやすい形を考える
こうすることで、
「ここ1台、あっち1台」とエアコンを増やさなくても、
少ない台数のエアコンで家全体をじんわりと温める・冷やす
という設計がしやすくなります。
ビオハウジングの考え方
「少ないエアコンで、静かに整う家」を目指して
ビオハウジングでは、
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無垢材や漆喰などの自然素材
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断熱性能と気密性能
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室内空気と微生物の循環まで含めた空気環境
を総合的に考えながら、
「エアコンの台数を増やして頑張る家」ではなく、
「少ないエアコンで静かに整う家」
を目指して設計しています。
たとえば、福岡・北九州エリアの30〜35坪くらいの住宅であれば、
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リビングまわりに1台
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2階ホールや寝室側に1台
といった少ない台数でも、
断熱・気密・換気・日射計画がしっかりしていれば、
全館を穏やかに冷暖房できるケースはたくさんあります。
そのときの暮らしの景色は、展示場のような派手さはありませんが、
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エアコンの音がほとんど気にならない
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風が直接当たらず、肌が乾燥しにくい
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廊下も洗面所もお風呂も、急な温度差がない
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洗濯物のにおいもこもりにくい
そんな、静かで健康的な室内空気が手に入ります。
これから家づくりを考える方への「展示場チェックポイント」
最後に、住宅展示場をまわるときに、
ちょっとだけ視点を変えるチェックポイントをまとめておきます。
1. 外に出て「室外機の数」を数えてみる
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何台くらい室外機が並んでいるか
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大きな室外機がズラッと列になっていないか
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「全館空調」と書いてあっても、他に個別エアコンが足されていないか
2. 営業さんに「実際に建てる家では何台で計画していますか?」と聞いてみる
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展示場と同じように多台数が前提なのか
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性能と設計で台数を抑える方向なのか
ここで、その会社の家づくりの思想が見えてきます。
3. 「自然素材」「健康住宅」と言うなら、空気の話も聞いてみる
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室内空気の考え方(換気・調湿・VOCなど)
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無垢材や漆喰など自然素材の使い方
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体感温度やヒートショックへの配慮
ここまで答えてくれる工務店さんは、
エアコンの台数以前に、家全体の環境づくりを大事にしている可能性が高いです。
福岡・北九州で家を建てるあなたへ
福岡・北九州は、夏も冬もなかなか手強い気候です。
だからこそ、
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「展示場みたいにエアコンをたくさん付ければ安心」
ではなく、 -
「エアコンの台数を増やさなくても、静かに整う家」
を一緒に考えていけたらと思っています。
ビオハウジングでは、
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自然素材の家
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健康住宅としての空気環境
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断熱性能・気密性能
をセットで考えながら、
少ないエアコンで、家族の体がホッとする家づくりをお手伝いしています。
「うちの計画、エアコン何台がいいのかな?」
そんな素朴な疑問からでも大丈夫です。
お気軽にご相談くださいね。
FAQ
Q1. 住宅展示場でエアコンの台数が多い会社は、やめた方がいいですか?
A. 台数だけで「良い・悪い」を判断するのはおすすめしません。住宅展示場は大空間・人の出入りが多いなど特殊な条件があるからです。ただし、「建物性能や空気環境をどう考えているか」「実際の家では何台で計画しているか」を合わせて確認すると、その会社の家づくりの考え方が見えてきます。
Q2. 福岡・北九州で30〜35坪くらいの家なら、エアコンは何台くらいが目安ですか?
A. 断熱・気密・換気・日射計画がきちんとしていれば、リビングまわり1台+2階ホールや寝室側に1台など、少ない台数で計画できるケースも多いです。ただし間取りやライフスタイルによって変わるため、必ず設計者と一緒に「台数の理由」まで確認されることをおすすめします。
Q3. 全館空調と各室エアコンでは、どちらが健康住宅に向いていますか?
A. どちらが正解というより、「どう設計するか」が大切です。全館空調は温度ムラを減らしやすい一方で、メンテナンスや故障時のリスクが1カ所に集中します。各室エアコンは柔軟ですが、台数が増えすぎると風・音・温度差が問題になりやすいです。福岡・北九州のような地域では、建物性能と空気環境を整えたうえで、「少ない台数で家全体をゆるやかに整える」バランス型の計画が現実的だと感じています。