インフレ時代の家づくり 「今建てるか、まだ待つか」で本当に変わるお金の流れ
こんにちは、福岡のビオハウジング
健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。
1. 「もう少し待てば、落ち着くはず…」と思っていたころの話
数年前、お客さまとこんな会話をしました。
「建築費、けっこう上がってますね。もう少し待てば、落ち着きますかね?」
そのとき私は、「一旦様子を見てもいいかもしれませんね」と答えました。
ところが、ふたを開けてみると──
- 木造住宅の建築費指数は、そこからさらに数%ずつ上昇
- 生活全体の物価(CPI)も、毎年2〜3%のペースで上がり続けています
当時のお客さまがポツリとこぼした一言が、ずっと残っています。
「”待つ”って、安くなるのを待ったつもりが、高くなるのを待ってたのかもしれませんね…」
この経験から、「インフレの中で家を建てる」という前提で、お金の流れを設計することが、すごく大事だと感じています。
2. インフレで、実際に何がどのくらい上がっているのか?
ざっくり分けると、家に関わるお金は3つです。
- 建てる費用(新築・リノベの工事費)
- 維持費・メンテナンス費(将来の塗装・設備交換など)
- 光熱費などのランニングコスト
2-1. 建築費そのものは?
「木造住宅の建築費指数」は
- 2010年を100とすると、2025年には128.3まで上昇
- 別の指数でも、2021年以降の上昇がかなり鮮明とされています
- 建設物価調査会のデータでは、住宅(木造)の工事原価は前年比3〜4%増の水準で推移
2-2. 生活全体の物価(CPI)は?
総務省の消費者物価指数では
- 2024年平均で前年より2.7%上昇
- 2025年秋時点でも、前年同月比**約2.9〜3.0%**の上昇
ざっくり言うと、
- 建築費:年3%前後でじわじわ上昇
- 物価全体:年2〜3%で上昇が続いている
というのが、ここ数年の空気感です。
3. 家づくりのお金は「いつ払うか」で意味が変わる
3-1. お金のタイミングは3つ
A. 今払うお金
- 本体工事費、設計費、登記費用など
B. 将来払うお金(メンテ・更新)
- 外壁・屋根のメンテナンス
- 設備交換(給湯器・エアコン・換気)
C. ずっと払い続けるお金
- 電気代・ガス代などの光熱費
ポイントは、
- A(建てる費用)は「今の価格」でほぼ固定できる
- B・C(メンテ・光熱費)は、未来のインフレ価格で払う
ということです。
4. 「今建てる」と「3年待つ」をざっくり比べてみる
数字はあくまでイメージですが、分かりやすく。
今、3,500万円の家を建てられるとします
建築費の上昇を**年3%**と仮定すると…
3年後の建築費は:
3,500万円 × 1.03³ ≒ 3,830万円
差額は、約330万円。
もちろん、土地やローン条件など条件はいろいろですが、「待つ=何もせず同じ価格で建てられる」ではなく、
“少しずつ高くなる波の上で待っている”
イメージに近いのが現状です。
5. メンテナンス費は、もっと”人件費インフレ”の影響を受ける
ここからが、一番お伝えしたいところです。
5-1. なぜメンテ費は上がりやすい?
- 外壁塗装・シーリング打ち替え・屋根工事などは → 人が現場で作業する=人件費の影響が大きい
- 日本全体で、職人さん不足・高齢化が進んでいて → 給料を上げないと人が集まらない
- 公共工事の労務単価も、この数年で毎年のように引き上げられています
材料だけでなく、「人の手」の価値がじわじわ上がっているのが今の流れです。
5-2. メンテ費の未来をざっくり計算
たとえば、今の感覚で
「12年後に200万円くらいで外装メンテかな?」
と思っていたとして、これが**年3%**ずつ上がると仮定すると…
12年後:200万円 × 1.03¹² ≒ 約285万円
数字はあくまで一例ですが、
- 建てる費用も上がる
- メンテ費も、より人件費に引っ張られて上がりやすい
という二重の波の中で、家づくりを考える必要が出てきています。
6. 中古住宅を買うときにこそ「インフレ・メンテ目線」が大事
中古住宅は、入口の価格が魅力です。ただ、インフレの時代は、
「これから何を、いつ、いくらで直すことになるか?」
をセットで見ないと、結果的に新築以上の出費になるケースもあります。
6-1. 買う前に必ず見ておきたいところ
屋根・外壁・雨樋の状態
- 近い将来、足場を組む必要がありそうか
シーリング(外壁の目地)
- ひび・切れ・はがれが出ていないか
設備の年式
- 給湯器・エアコン・換気扇など
- 「あと何年持ちそうか?」の感覚
雨漏り・結露の跡
- 天井のシミ・北側のカビ・床下の湿気
6-2. 「0年目メンテ」で未来を整える
中古を買った最初の年に、
- 雨仕舞の弱点補強(窓まわり・水切り・樋)
- 床下の湿気対策(換気・防湿・漏水チェック)
- 寿命が近い設備の更新
などをまとめて整えておくと、その後のメンテの波がだいぶ読みやすくなります。
7. 福岡・北九州だからこそ、家計に効く仕様とは?
この地域は、
- 冬はそこまで極寒ではないが、湿度が高い
- 夏の蒸し暑さ・台風・横殴りの雨も多い
という、「しっとり+雨風」型の気候です。
だからこそ、
- 外壁をなるべく濡らさない形(軒・庇)
- 雨が入ってもすぐ抜ける通気層・水切り
- 結露を減らす断熱・気密・換気のバランス
を整えることが、
「インフレの中で、メンテ費と医療費をダブルで抑える家計設計」
につながってきます。
8. 最後に:インフレだからこそ、「今」と「未来」のバランスを一緒に設計したい
まとめると──
- 建築費は、ここ数年年3%前後で上昇傾向
- 物価全体も年2〜3%のペースで上がり続けている
- メンテ費は、人件費インフレの影響を強く受けやすい
「今建てる」は、建築費を今の水準で固定できる代わりに
- 断熱・雨仕舞・メンテしやすい仕様で
- 将来のメンテ費と光熱費をどこまで減らせるかが鍵
**中古住宅は、「入口の価格+これからのメンテ費」**まで見たときに
- 本当にお得かどうかが見えてきます
私からのご提案
もしよければ、
新築を検討中なら:
- 「だいたいこのくらいの大きさ・こんな暮らし方をしたい」
中古を検討中なら:
- 「気になっている物件の築年数・外壁の種類・設備の年式」
などを、ざっくり教えてください。
福岡・北九州の気候と、最近の建築費・物価の動きを踏まえて、
- 「今建てる」場合の30年シミュレーション
- 「数年待つ」or「中古を買う」場合とのざっくり比較
を、家計・健康・メンテナンスの3つの視点から、一緒に整理してみましょう。
お問い合わせはこちら
参考データ(気になる方向け)
- 全国木造建築費指数:2010年=100に対し、2025年3月末で128.3(前年同期比+3.4%)
- 木造住宅工事原価指数:2024〜2025年にかけて前年比3〜4%増の水準で推移
- 消費者物価指数(全国):2024年平均で前年より**2.7%上昇、2025年11月も前年同月比2.9%**の上昇
(数字はあくまで全体感を掴むためのもので、個別の計画ではまた別途試算していくイメージです)
FAQ(よくある質問)
Q1. インフレが落ち着くまで、やっぱり待った方がいいですか?
「待って安くなる」時代ならそうですが、ここ数年は建築費も物価も**”少しずつ上がる”流れが続いています。家計・仕事・家族のタイミングと合わせつつ、「待つ間に払う家賃や、建築費の上昇」**も含めて一緒に整理すると判断しやすくなります。
Q2. メンテ費をできるだけ抑えるポイントは?
一言でいえば、「濡らさない・乾かす・交換しやすく」です。軒・庇、通気・水切り、シンプルな屋根形状、設備の交換ルートなど、”手のかかりにくい設計”を最初に仕込んでおくほど効きます。
Q3. 中古住宅でも、インフレ対策はできますか?
できます。購入前のチェックと**「0年目メンテ」で、これからの10〜20年にかかりそうなメンテ費を、ある程度見える化できます。そのうえで、「新築+少し小さめ」か「中古+リノベ」か**を検討するのがおすすめです。