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TOP性能ブログ【前編】 四季から“二季”へ。北九州で「窓を開ける日」が減ってきた理由

【前編】 四季から“二季”へ。北九州で「窓を開ける日」が減ってきた理由

こんにちは。

福岡のビオハウジング、健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。

お客さまとお話ししていると、最近よくこんな言葉を耳にします。

「春と秋が一瞬で終わる気がするんですよね」

「暑いか寒いかの二択で、窓を開けるタイミングが難しいです」

じつはこれ、「気のせい」ではありません。

ちゃんとデータを見ても、日本の季節の感じ方そのものが変わってきているのです。

今日は、「なぜ窓を開けにくくなってきたのか?」を、

北九州の気候を例に、やさしく整理してみます。


1. 「春と秋が短い…」は、感覚だけじゃない

ここ100年ほどで、日本の平均気温は約1℃ちょっと上昇しています。

「1℃くらい」と聞くと小さく感じますが、

これが積み重なると、季節のリズムがガラッと変わります。

  • 真夏日(30℃以上)

  • 猛暑日(35℃以上)

  • 熱帯夜(25℃以上)

こういった「暑い日」が、全国的に確実に増えてきました。

さらに、気象の解析では、

  • 夏の期間が、ここ40年ほどで約3週間も長くなった

  • その分、春と秋の“ゆるやかな季節”が削られている

という結果も出ています。

だから私たちは、

「ちょっと前まで寒かったのに、急に夏が来た」

「あっという間に秋が終わって、気づけばコートの季節」

と、“四季”というより**「長い夏+長い冬+短い春秋」=二季**に近い感覚になっているのです。


2. 北九州で「窓を開けて心地よい時期」はどれくらい?

では、私たちが暮らす北九州では、どれくらい「窓を開けてちょうどいい」時期があるのでしょうか。

八幡(北九州)の月別・平均気温(ざっくり)

気象庁の平年値から、春〜秋の温度を抜き出すとこんな感じです。

  • 3月:平均 10.0℃

  • 4月:平均 14.7℃

  • 5月:平均 19.3℃

  • 6月:平均 22.7℃

  • 7月:平均 26.8℃

  • 8月:平均 27.8℃

  • 9月:平均 24.0℃

  • 10月:平均 18.8℃

  • 11月:平均 13.3℃

一般的に、多くの人が「薄手の服+軽い家事」で心地よく感じる室温は、

18〜25℃前後(湿度40〜60%くらい)

と言われています。

これを北九州に当てはめると、

  • 春:4月後半〜5月

  • 初夏:6月前半

  • 秋:10月〜11月前半

あたりが、

「窓を開けて気持ちいいゾーン」です。

でも、体感はもっとシビア

ところが、住んでいる感覚としてはこうですよね。

  • 5月後半〜6月

    → 気温はちょうどよくても、湿度が一気に上がってムワッと暑い

  • 9月

    → 平均24℃でも、日中は30℃近くまで上がる日が多く、残暑+湿気のダブルパンチ

そして近年の気温上昇で、

この「ちょうどいいゾーン」自体がさらに短くなっています。

つまり、

データで見ても、体感で見ても、「窓を気持ちよく開けられる時期」は確実に圧縮されている

というのが、北九州の現状です。


3. 北九州特有の「窓を開けにくい」もうひとつの理由

もう一つ、北九州で忘れてはいけないのが黄砂とPM2.5の存在です。

黄砂・PM2.5が多い地域

  • 春先になると、車がうっすら黄色くなる「黄砂」

  • ニュースで注意喚起される「PM2.5(とても細かい粒のホコリ)」

北九州・福岡は、この2つの影響を受けやすい地域です。

窓を開けると、

  • 黄砂

  • PM2.5

  • 幹線道路からの排気ガス

などが、そのまま家の中に入ってきます。

体への影響もゼロではない

  • 喘息・アレルギーの悪化

  • 目・鼻・喉の違和感

  • 黄砂飛来時の健康リスクを指摘する研究も

など、「外の空気=いつも良い空気」ではなくなってきました。


4. まとめ:窓との付き合い方を、そろそろアップデートする時期

ここまでをまとめると、

  • 日本全体で「長い夏+長い冬+短い春秋=二季化」が進んでいる

  • 北九州では、「18〜25℃で窓が気持ちいい時期」は意外に短い

  • さらに、黄砂・PM2.5の影響で、「窓=きれいな空気」とは限らない

という現実があります。

「暑いか寒いかの二択で、窓を開けるのが難しくなってきた」

という感覚は、まさにこの背景から来ているのだと思います。

よくあるご質問(前編)

Q1. なぜ最近「春と秋が短くなった」と感じるのでしょうか?

A.

ここ100年ほどのあいだに、日本の平均気温は約1℃以上上がっています。

たった1℃のように見えますが、その影響で

  • 真夏日(30℃以上)

  • 猛暑日(35℃以上)

  • 熱帯夜(25℃以上)

といった「暑い日」が全国的に増えてきました。

また、気象の解析では、

  • 夏の期間がここ40年ほどで約3週間長くなっている

  • その分、春と秋の期間が短くなっている

ことも指摘されています。

そのため、私たちは

「春と秋が一瞬で終わる」

「暑いか寒いかの二択」

と感じやすくなっており、これは単なる“感覚”ではなく、気候の変化が背景にあると言えます。


Q2. 北九州では、どのくらい「窓を開けて気持ちいい時期」がありますか?

A.

気象庁の平年値をもとにすると、北九州(八幡)での平均気温は、

  • 4月後半〜5月

  • 6月前半

  • 10月〜11月前半

あたりで 18〜25℃前後 になることが多く、多くの方が「薄手の服でちょうどいい」と感じる温度帯です。数字だけを見ると、このあたりが「窓を開けて気持ちいい時期」と言えます。

ただし実際には、

  • 5月後半〜6月は湿度が急に高くなり、ムワッと蒸し暑く感じる

  • 9月は平均気温こそ下がっても、日中30℃近くまで上がる日が多い

といった事情があり、「窓を開けて本当に心地よい」と感じられる期間は、データ上の印象よりさらに短いのが実情です。


Q3. 北九州では、黄砂やPM2.5は窓を開けるときに問題になりますか?

A.

はい、北九州・福岡は黄砂やPM2.5の影響を受けやすい地域です。

  • 春先には、車や窓ガラスがうっすら黄色くなる黄砂

  • ニュースで注意喚起されるPM2.5(とても細かい粒子のホコリ)

こうしたものが多い日に窓を開けると、

  • 黄砂や微小粒子

  • 幹線道路からの排気ガス

などが、そのまま室内に入ってきてしまいます。

その結果、

  • 喘息やアレルギーの悪化

  • 目や喉の違和感

といった不調の原因になることもあります。

つまり北九州では、

「窓を開ければいつでも外の新鮮な空気が入ってくる」

とは限らず、その日の外気の状態を見ながら窓を開けるかどうか判断する必要がある、と言える状況になっています。

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