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TOP性能ブログ「温度」では測れない、心地よさの科学【福岡・北九州】

「温度」では測れない、心地よさの科学【福岡・北九州】

🌡️ PMV(予測平均温冷感)とは?

――「温度」では測れない、心地よさの科学【福岡・北九州】


🏡 こんにちは

こんにちは、福岡のビオハウジング。

健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。

家づくりの相談でよく聞かれる言葉があります。

「うちは20℃にしてるけど、なんだか寒いんですよね」

逆に「同じ温度でも、この家はなぜか暖かく感じる」と言われる方もいます。

実は、この“体感の違い”を科学的に説明できる指標があるんです。

それが――**PMV(予測平均温冷感)**です。


📏 PMVとは、「人がどう感じるか」を数値化したもの

PMVとは Predicted Mean Vote の略で、

「人がどのくらい暑い・寒いと感じるか」を数値で表したものです。

この指標は、アメリカの研究者 Fanger(ファンガー) によって提唱されました。

室温・湿度・風速・放射温度(壁や窓の温度)・衣服量・代謝量(活動の強さ)

の6つの要素から、人の快適度を総合的に予測します。


🧮 PMVの目安

PMV値 体感の目安 状態
+3 非常に暑い 不快
+2 暑い 不快
+1 やや暑い やや不快
0 ちょうど良い 快適
-1 やや寒い やや不快
-2 寒い 不快
-3 非常に寒い 不快

つまり、PMV=0 に近いほど、人が“快適に感じる空気環境”になります。


🌿 「室温が同じでも、快適さが違う」理由

同じ「室温20℃」でも、なぜ寒く感じることがあるのでしょう?

それは、PMVが示すように“温度以外の要素”が関わっているからです。

  • 壁や窓が冷たい → 放射温度が低く、体が冷える

  • 空気が乾燥している → 体感温度が下がる

  • 風が当たる → 表面温度が奪われ寒く感じる

人間の体は、単なる「気温」ではなく、周囲の放射熱や空気の動きまで感じ取っているのです。

だから、ビオハウジングでは「断熱性能」だけでなく、

壁や床・窓の放射温度、湿度、風の流れを総合的に設計しています。


🏠 快適とは「数字ではなく、体が整う状態」

PMVは非常に科学的な指標ですが、

私たちはそれを「性能値」ではなく「感じ方を整える指標」として扱います。

例えば:

  • 外壁が冷えにくい素材(放射温度を安定させる)

  • 無垢の床が足裏から熱を吸い取らない(接触温感が穏やか)

  • 床下循環で空気が緩やかに流れる(風による冷えがない)

これらを組み合わせることで、

PMVの理想値「-0.5〜+0.5(快適範囲)」を自然なかたちで実現しています。


💧 「空気をデザインする」という考え方

PMVの理論を突き詰めていくと、

最終的には“空気そのものをどう扱うか”に行き着きます。

家の中の空気を

・どのように温めるか

・どのように流すか

・どのように湿度を保つか

そのバランスが取れて初めて、

「体が自然にリラックスできる空気環境」が生まれます。


☀️ まとめ|PMVは、心地よさを“見える化”するもの

PMVは、単なる数値ではありません。

それは「体の声を科学的に聞き取る」ための道具です。

ビオハウジングでは、

このPMVの考えをベースにしながら、

数値と感覚、科学と自然をつなぐ家づくりを行っています。

「快適さ」はデータではなく、“呼吸するように心地よい”という実感。

それを建築で再現することが、私たちの使命です。

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