断熱性能が良い家は快適か?そのデメリット その7 UA値を稼ぐために「窓を減らす」って、本当に正解?
🪟 UA値を稼ぐために「窓を減らす」って、本当に正解?
住宅の高断熱化が進む中で、よく見られるのが、
**「UA値を下げるために、窓を極端に少なくする」**という設計方針です。
たしかに、窓は住宅の中で最も熱が出入りしやすい部位。
断熱材でしっかり囲った壁に比べると、断熱性能の差は歴然です。
だからこそ、UA値を良く見せようとすると、「窓を減らせば簡単に下がる」という発想になりやすいのです。
✅ UA値とは何か、改めておさらい
UA値(外皮平均熱貫流率)は、住宅の外皮(壁・屋根・窓など)からどれだけ熱が逃げるかを示す指標です。
単位はW/㎡K。数値が小さいほど、断熱性能が高いとされています。
このUA値は、外皮の面積加重平均で求められるため、
-
熱が逃げやすい「窓」を減らせば
-
逃げにくい「壁」の割合が増えて
→ UA値は下がる、という仕組みです。難しいですが、窓よりも壁のほうが断熱性能が高いということです。
🧊 断熱性能は上がるけれど…
しかし、UA値だけを追い求めた結果、こんなことが起きていませんか?
-
窓の少ない、閉鎖的な間取り
-
自然光が入りにくい、日中でも暗い室内
-
風が通らず、空気がこもりがちな家
-
視線の抜けや開放感がなく、どこか窮屈
つまり、「UA値はいいけど、住んでいて気持ちよくない家」になってしまうこともあるのです。
🌿 窓は“性能の穴”ではなく、“暮らしの窓”でもある
窓はたしかに、熱の出入りが大きい部分です。
でも同時に、光、風、景色、人の感覚を取り入れる、とても大切な「暮らしの器官」でもあります。
-
朝日で自然に目覚める
-
風に揺れる木々を眺める
-
夕暮れに西日が差し込む
-
子どもの声が外から聞こえる
こうした体験は、**壁の断熱性能だけでは得られない“感性の快適さ”**をもたらしてくれます。
✅ 「性能」と「感性」のバランスをとる設計へ
本当に心地よい家とは、UA値などの性能指標だけでなく、
**「住んで気持ちいいか」「五感に響くか」**を含めて考えることが大切です。
そのためには、
-
窓を減らすのではなく、「性能の良い窓を適所に配置する」
-
日射取得・遮蔽を設計でコントロールする
-
通風・視線・採光のシミュレーションを事前に行う
-
トリプルガラス・高性能樹脂サッシ・外付けブラインドなどを活用する
といった、**“窓を活かす断熱設計”**が求められています。
✍️ ブログの締めの一文
窓は、断熱性能を損なう「弱点」ではなく、暮らしを豊かにする「可能性」。
UA値は家づくりの“物差し”ですが、物差しのために暮らしを削ってしまっては本末転倒です。
性能と感性、そのバランスを整えることが、本当の意味で快適な家づくりの鍵になるのではないでしょうか。北九州工務店 ビオハウジングでは窓の位置、そこから見える景色を大事にした家造りを提案します。