断熱性能が良い家は快適か?そのデメリット その5 壁の中で内部結露

結露の位置が壁内部に移動 壁の中で内部結露
🧊 見えなくなった結露が、家を蝕む?
——高断熱住宅に潜む「内部結露」という落とし穴
「高断熱の家は結露しませんか?」という質問を、私たちはよく受けます。
答えは、「表面には出にくくなりますが、ゼロとは限りません」。
むしろ、高性能な家ほど**“結露の起き方”が変わる**ということを、知っておいてほしいのです。
❄ 表面から壁の中へ——結露の“移動”
昔の家では、冬になると窓ガラスがびっしょり濡れて、サッシ周りがカビてしまう……そんな光景が当たり前でした。
それが最近では、樹脂サッシやトリプルガラスの普及により、目に見える結露はかなり減ってきました。
しかし、「見えなくなった」からといって、完全になくなったわけではありません。
実は、結露は表面から“壁の中”へと移動している可能性があるのです。
🧱 内部結露とは?
高気密・高断熱の住宅では、室内と屋外の温度差が非常に大きくなります。
例えば、冬の室温が20℃、外気が0℃。
この温度差が大きいほど、壁の中間地点で「結露が発生しやすいポイント」が生まれやすくなるのです。
もし、断熱材の施工にムラがあったり、防湿層(気密シート)が不十分だったりすると、
湿った空気が壁の中に入り、冷たい外壁側で水滴化=“内部結露”が発生します。
🔍 なぜ怖いのか?——見えないところで劣化が進む
内部結露の怖さは、気づきにくいことにあります。
起きること | 結果 |
---|---|
柱や梁が湿る | 腐朽菌が繁殖 → 構造材の強度が低下 |
断熱材が濡れる | 性能が低下 → 断熱効果が落ちる |
カビが壁内部で繁殖 | 室内の空気に悪影響 → アレルギーや臭いの原因に |
湿った木材が続く | 白アリの誘因 → 基礎や土台への侵食 |
しかもこれらは、完成して数年は何も起きず、10年、20年後に症状として現れることが多いため、
一見“優秀な家”に見えても、内側では静かに劣化が進んでいる…ということもあり得るのです。
⚠ 内部結露が起きやすい条件とは?
-
気密・断熱施工が中途半端(特にDIY・ローコスト施工)
-
防湿層が途切れている/シートが破れている
-
換気が不十分で、室内の湿度が高い状態が続く
-
外壁側に通気層がない/透湿抵抗が高すぎる
-
北面・日当たりの悪い部屋に湿気がたまりやすい間取り
✅ ビオハウジングの考え方:断熱材も“呼吸する”
特に気密性を取るために、気密シートを採用している工法は要注意です。
気密シートの欠損、老朽化、すれば、気密シートなしでは結露する。
理由は結露するから、気密シートをしているんです。
ビオハウジングでは、こうした見えないリスクに備えるため、
透湿性・調湿性のある自然素材を活用し、「湿気と共に生きる家」を目指しています。
-
内装には漆喰や無垢材を用い、室内の湿度変化を受け止める“呼吸する壁”を実現
-
断熱材には、調湿性能と透湿性を兼ね備えたセルロースファイバーを使用
-
外壁通気層+防湿気密層+調湿素材の三層設計で、結露を構造に残さない
また、必要に応じて夏型結露への配慮として、可変透湿気密シート(冬は防湿、夏は透湿)も採用しています。