子どもの手が、春を覚えていく。北九州市・山田緑地での体験学習の話
こんにちは、福岡のビオハウジング 健康オタクの住宅設計士 竹森哲也です。
北九州で自然素材の注文住宅をつくる工務店として、設計から現場まで一貫して見ています。
朝の空気はまだ少しひんやりしているのに、
土のにおいや、やわらかい日差しの感じは、もうすっかり春でした。
先日、子どもたちと一緒に、北九州市の山田緑地へ行ってきました。
そこで参加したのが、春の生きものを観察するイベントです。

春は、見るものではなく、
手のひらで出会うものなのかもしれません。

カエルの卵を見たり、サンショウウオの卵を見たり。
午後からは、カブトムシの幼虫を探す体験もありました。
こういう時間って、ただ「自然に親しむ」という言葉だけでは片づけられないものがありますね。
その場にいる生きものの気配や、森の湿り気や、土のやわらかさまで、子どもたちの身体にそのまま入っていくような感じがありました。
「触っていいの?」の先にある、ほんとうの学び
親のほうが、つい思うんです。
「え、それ触れるの?」
「ぬるっとしてない?」
「幼虫、大丈夫?」
でも、子どもたちは案外、平気なんですよね。
卵も、幼虫も、思ったよりすっと手を伸ばして、
抵抗感なく見て、触って、のぞきこんでいました。
その様子を見ながら、なんだかうれしくなりました。
怖がらないことがすごい、というより、
いのちに対して、まだ変な先入観が少ないんだな、と感じたからです。
大人になると、どうしても
「汚いかも」
「気持ち悪いかも」
「触らないほうがいいかも」
と、先に頭が動いてしまうことがあります。
もちろん、危険なものには注意が必要です。
でも、なんでも最初から遠ざけてしまうと、
生きもののあたたかさや重みや、やわらかさに出会う機会まで減ってしまうのかもしれません。
春は、静かに始まるのではなく、もう動き出していた
今回あらためて感じたのは、
春って、花が咲いて「きれいだね」で始まるだけじゃないんですよね。
水の中では卵がふくらみ、
森の土の下では幼虫が生きていて、
見えないところで、もういのちはちゃんと動いている。
それを子どもたちが、
目で見て、手で触って、驚いていた。
図鑑や動画で知ることも大切です。
でも、実際にその場の空気の中で出会うと、やっぱり違います。
「これが卵なんだ」
「ほんとにいる」
「動いた」
そんな小さな声の一つひとつに、学びの芯がある気がしました。
体験学習は、「知識を増やす」より先に「感覚を開く」
学校や勉強の場では、どうしても「知ること」が中心になります。
もちろんそれは大事です。
でも、自然の中での体験学習は、
知識より先に、感覚を開く学びなのかもしれません。
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土は乾いたところと湿ったところで全然ちがう
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卵は思ったより繊細そうで、でもしっかり命を抱えている
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幼虫は「気持ち悪いもの」ではなく、次の姿に向かう途中のいのち
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森の中には、静かだけどたくさんの動きがある
こういうことって、文章だけではなかなか身につきません。
手袋越しでも、手のひらに伝わる。
しゃがみこんだ目線で見ると、景色が変わる。
そういう身体の記憶が、子どもの中に残っていくんだと思います。
2つの体験が、子どもたちに教えてくれたこと
1|卵に触れる体験
カエルやサンショウウオの卵を見る時間は、
「いのちは最初から完成しているわけではない」ということを、やさしく教えてくれます。
まだ小さくて、頼りなく見える。
でも、その中でちゃんと変化が起きている。
子どもたちにとっても、
ただ珍しいものを見るだけではなく、
「育っていく途中」に出会う時間になっていたように思います。
2|幼虫を探す体験
午後のカブトムシの幼虫探しは、また違う楽しさがありました。
落ち葉の下、湿った土、朽ちた木。
そういう場所に手を入れて探すと、
「見えないところに生きものがいる」ということを、身体で知ることができます。
しかも、実際に見つけたときの表情がいいんですよね。
ちょっと驚いて、でもうれしくて、すぐに誰かに見せたくなる。
あの反応は、画面の中では出にくいものだと思います。
触れられる子は、世界を遠ざけすぎない
今回、特に印象に残ったのは、
子どもたちが卵にも幼虫にも、思っていた以上に自然に触れていたことでした。
これは、ただ大胆ということではなくて、
世界をまだ遠ざけすぎていないということなのかもしれません。
便利になって、清潔で、整った環境が増えるのは悪いことではありません。
でも一方で、土や水や虫や湿り気から、あまりに離れすぎると、
感覚まで平らになってしまうことがある気がします。
少しぬれている。
少し土がつく。
ちょっと不思議な形をしている。
でも、触れてみるとわかる。
その順番が、とても大事なんですよね。
福岡・北九州の暮らしと、家づくりにもつながる話
こういう体験をすると、
やっぱり私は、家づくりのことを考えます。
福岡や北九州で注文住宅を考えるとき、
つい性能や設備の話に意識が向きやすいです。
もちろん、断熱や気密、換気はとても大切です。
でも、それと同じくらい、
子どもの感覚が閉じすぎない暮らしも大事だと思うんです。
たとえば、
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雨のにおいに気づけること
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木の肌ざわりを覚えられること
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窓の外の季節の変化が見えること
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庭や土と少しつながれること
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室内の空気がやわらかく、深呼吸しやすいこと
こういうことは、数値だけでは語りきれません。
でも、暮らしの質には確かに関わっています。
自然素材の家や、空気環境を大切にした住まいは、
単に「おしゃれ」だからではなく、
人の感覚を鈍らせすぎないためにも意味があるのだと思います。
森の中で卵や幼虫に平気で手を伸ばせる子どもたちを見ていると、
家の中でも、感覚がちゃんと育つ環境をつくりたいな、とあらためて思いました。
子どもは、体験した季節を忘れない
春の森で、卵を見たこと。
幼虫を探して、土を掘ったこと。
ちょっと冷たい水に触れたこと。
みんなでのぞきこんで、「いた」と声が出たこと。
そういう記憶は、たぶんすぐに言葉にはならないんです。
でも、身体のどこかには残っていくんだと思います。
勉強として覚える春ではなく、
自分の手で触れた春。
それは、子どもにとってすごく強い学びですし、
見ている親にとっても、なんだか励まされる時間でした。
子どもたちは、こちらが思っている以上に、
ちゃんと感じて、ちゃんと受け取っているんですね。
そんなことを、北九州市の山田緑地で教えてもらった一日でした。
福岡・北九州で注文住宅をつくる工務店として、
家の中の快適さだけでなく、
こうした季節や自然とやわらかくつながれる暮らしも大切にしていきたいと思っています。
設計から現場まで一貫して見ています。
暮らしの感覚までふくめた家づくりを考えたい方は、気軽にご相談ください。
FAQ
Q1. 子どもにとって自然体験は、なぜ大切ですか?
自然体験は、知識を増やすだけでなく、手ざわり・湿度・におい・気配などを身体で感じる機会になります。感覚を開く学びとして、とても大きいと思います。
Q2. 卵や幼虫に触れる体験には、どんな意味がありますか?
「気持ち悪い」「汚い」と決めつける前に、実際のいのちに触れることで、先入観の少ない見方が育ちます。いのちを遠ざけすぎない感覚につながると思います。
Q3. 山田緑地のような自然体験は、家づくりとどう関係しますか?
家づくりもまた、感覚を育てる環境づくりだからです。自然素材、空気環境、庭や外とのつながりなどは、子どもが季節を感じる暮らしに関わってきます。
Q4. 子どもが虫や幼虫を怖がる場合は、無理に触らせたほうがいいですか?
無理はさせなくていいと思います。まずは見ること、近づくこと、誰かが触っているのを見守ることからでも十分です。安心できる順番が大切です。
Q5. 福岡・北九州で、自然とつながる暮らしを家に取り入れるにはどうしたらいいですか?
外との視線のつながり、土や木に触れられる庭、深呼吸しやすい空気環境、自然素材の使い方などを整えることです。大げさでなくても、感覚が育つ住まいはつくれます。