福岡・北九州の注文住宅、広告費200万円の家って本当に幸せ?小さな工務店が感じている違和感
導入:その「クオカード1万円」、どこから出ているんだろう?

こんにちは、福岡市のビオハウジング、健康オタクの住宅設計士 竹森哲也です。
北九州で注文住宅の設計・施工をしていると、最近ずっとモヤモヤしていることがあります。
「来場でクオカード1万円プレゼント」
「WEB予約でさらにギフトカード進呈」
住宅展示場やポータルサイトを見ていると、そんな広告がずらっと並びますよね。
業界の話を聞くと、
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1組のお客様にご契約いただくまでにかかる広告費が 200〜300万円、場合によっては500万円
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資料請求1件あたりでも、15万円以上かかるケースもある
と言われることもあります。
そのお金は最終的に、誰が負担しているのか。
冷静に考えると、それはお客様が支払う建築費の中なんですよね。
今日は、工務店の立場からこの矛盾をなるべくやさしく、でも正直にお話ししてみたいと思います。
1. かつての私の失敗:広告に揺れて落ち着かなかった時期
正直に言うと、私も昔は不安でした。
「福岡や北九州で注文住宅を建てたい人はたくさんいるはずなのに、うちみたいな小さな工務店はなかなか見つけてもらえない…」
そんな焦りから、
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高い掲載料の住宅ポータルに載せてみたり
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大きなイベントに出展しようか悩んだり
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「来場プレゼントをつけないと、お客様が来てくれないのでは」と考えた時期もありました。
でも、いろいろ話を聞き、見積もりを取ってみると、
「ここにこれだけ出したら、1棟あたりの広告費が200万円近くになるな…」
と、冷静になってしまう自分もいました。
「この200万円、もし広告ではなく、
無垢材の床や漆喰(しっくい)の塗り壁、
セルロースファイバーの断熱材、
しっかりした換気計画に回せたら、
どれだけ暮らしが変わるだろう?」
そう思うと、どうしても踏み切れなかったのです。
2. なぜこんなに広告費がかかるのか? ─ お金の流れをほどいてみる
ここで、一度「広告費の構造」を整理してみます。
ざっくりですが、こんなイメージです。
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ポータルサイト・一括資料請求サイトへの掲載料
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月数十万円〜
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資料請求1件あたり数千円〜1万円以上になることも
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住宅展示場の出店費用・維持費
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年間で数百万円〜数千万円
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モデルハウスの建設費・光熱費・スタッフ人件費も含まれる
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イベント・来場プレゼント
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クオカード・家電・おもちゃなど
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1組あたり数千円〜1万円以上
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WEB広告・SNS広告・折込チラシなど
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クリックごとに数百円、資料請求ごとに数千円〜
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これらが積み重なって、
「1棟受注するまでに広告費が300万円かかる」といった数字になっていくわけです。
もちろん、広告が悪いわけではありません。
「知らないと選びようがない」という意味では、広告は大切な橋渡しです。
ただ問題は、
その広告費が、どこから出ているのかをお互いにあまり話さないまま
当たり前のように仕組みが回ってしまっていること
だと感じています。
3. 広告費はどこから出ているのか? ─ シンプルに言えば「建築費の中」
もう少し生々しく書いてみます。
たとえば、総額3,500万円の注文住宅だとします。
(※土地代はひとまず置いておきます)
内訳をざっくりイメージすると、
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建物本体にかかる原価(材料費・職人さんの手間)
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設計・申請・現場管理などの人件費
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会社としての家賃・光熱費・人件費などの固定費
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そして、広告宣伝費
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最後に、会社の利益
この中で、広告費が 1棟あたり200万円 かかるとしたら…
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その200万円は、断熱材をワンランク上げることができる金額かもしれない
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無垢材(むくざい)の床や漆喰の塗り壁にできるかもしれない
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換気計画を見直して、健康住宅としての室内空気環境をもっと整えられるかもしれない
そう考えると、
「広告費=暮らしの質を上げるチャンスでもあるお金」
とも言えるんです。
もちろん、広告費をかけることでたくさんの人に知ってもらい、
結果的にスケールメリットでコストダウンする、という考え方もあります。
ただ、家は大量生産の服や家電とは違って、
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現場ごとに職人さんが手を動かし
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敷地や家族ごとの暮らし方に合わせた設計が必要で
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その質を守るには 「現場に回すお金」と「人にかける時間」 がどうしても要る
そんな世界でもあります。
4. 広告を抑える工務店の「メリット」と「デメリット」
では、広告費をあまりかけない工務店はどうでしょうか。
デメリット(正直に)
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検索してもすぐには出てこない
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大きな住宅展示場にはいない
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派手なキャンペーンや来場プレゼントはほとんどない
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「知らないとたどり着けない」というハードルがある
正直、これはあります。
私たちビオハウジングも例外ではありません。
そのかわりのメリット
その代わりに、こんなところにお金や時間を使いやすくなります。
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断熱・気密・換気など、目に見えにくい性能部分にコストを回せる
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屋根や壁の断熱を厚くして、冬の体感温度を上げる
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シックハウスやVOC(揮発性化学物質)対策をしつつ、良い室内空気を保つ
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自然素材に投資しやすい
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無垢材の床や、調湿する漆喰や塗り壁
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夏はサラッと、冬はじんわりあたたかい足触り
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設計や打合せの時間をしっかりとれる
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マニュアル通りではなく、一つひとつの暮らし方に合わせて考えられる
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完成後のフォローに時間をかけられる
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定期点検やちょっとした相談に、「気軽に来てもらえる」関係性を持てる
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小さな工務店は「見つけてもらいにくい」という弱点がある一方で、
見つけてくださった方には、工事費のほとんどを家と暮らしに注ぎ込めるという強みも持っています。
5. お客様へのお願い:「値引き」よりも「お金の行き先」を一緒に見てほしい
ここまで読むと、
「じゃあ、大量に広告している工務店は全部ダメなの?」
と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
大切なのは、
「自分が払うお金が、どこにどれくらい流れているのか」
を、できるだけ透明に、一緒に見ていくことだと思っています。
お客様側から、こんな質問をしてみてください
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「1棟あたり、広告費はどれくらいかかっていますか?」
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「広告費を抑えて、その分を家の性能や自然素材に回すプランはありますか?」
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「OBさんの家を見学させてもらえますか?」(広告よりも、実際の暮らしの声を聞く)
こうした質問を真っ直ぐに受け止めて、
できる限り具体的に答えてくれる工務店であれば、
広告費の多い少ないにかかわらず、信頼の土台になると思います。
「来場プレゼント」にも、少しだけ想像力を
来場するとクオカードや家電がもらえると、嬉しいですよね。
私も主婦目線・父親目線で見ると「ちょっと助かるなあ」と思います(笑)
でも、その1万円や2万円は、
どこかで誰かが払っているお金です。
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それが、見えないところで建築費に上乗せされているのか
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あるいは、会社の利益を削って捻出しているのか
少しだけ想像してみると、
「本当に自分が望む家づくりはどこなのか」という軸が、自然と見えてくるかもしれません。
6. ビオハウジングが選んだ道:広告よりも「いのちの環境」へ
ビオハウジングでは、北九州市を中心に、
自然素材の家・健康住宅づくりをしてきました。
私たちが大切にしているのは、
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床はできるだけ無垢材に
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壁は漆喰や塗り壁で、呼吸する室内空気に
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断熱と気密をしっかりとり、ヒートショックや冷えから家族を守る
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体感温度を整えて、エアコンの風に頼りすぎない暮らしをつくる
といった「いのちの環境」に関わる部分です。
冬の朝、布団から出るとき。
廊下に出ても、お風呂場に行っても、足裏からじんわりとしたあたたかさを感じる。
エアコンの風の音ではなく、子どもの足音や笑い声が響く静かなリビング。
そんな風景をつくるために、
派手な広告よりも、現場と素材と設計にお金と時間を使いたい──
それが、私たちが選んだ経営の方向です。
その分、見つけていただくまでが少し大変かもしれません。
だからこそ、こうしてブログで本音を書きながら、
「広告費の裏側」も含めて、家づくりのことをお伝えしていきたいと思っています。
7. さいごに:工務店選びは「誰にお金を託すか」の選択
工務店経営がおかしくなってきている──
そんな大きなことを言うつもりはありません。
ただ、
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広告費にたくさんお金を使う工務店
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なるべく広告費を抑えて、その分を家と暮らしに使いたい工務店
どちらを選ぶかは、
「どこに自分のお金と未来を託したいか」 という問いでもあると思うのです。
どちらが正解、というよりも、
「自分たち家族は、どんな価値観の工務店と一緒に家をつくりたいのか?」
を、少しじっくり感じてみていただけたら嬉しいです。
ビオハウジングは、
これからも福岡・北九州で、
広告よりも「いのちの環境」に投資する小さな工務店でありたいと思っています。
もしこの考え方に共感していただけたら、
ぜひ一度、モデルハウスや完成見学会で、
無垢材や漆喰の空気感、冬の体感温度を肌で確かめてみてください。