子どもの感覚は「家の環境」で育つ
──刺激の強い時代に、どんな”ふつう”をプレゼントするか
こんにちは、福岡のビオハウジング
健康オタクの住宅設計士・竹森哲也です。
はじめに:落ち着かないのは、性格のせいじゃないかもしれない

あるご家族のお宅に伺ったときのことです。
- テレビはBGMのようにつきっぱなし
- リビングの照明は明るく、窓の外からは車の音
- キッチンからは香りの強い柔軟剤、テーブルの上にはタブレット
その中で、小学校低学年のお子さんが、ソファに座っては立ち、立っては別の部屋へ走って行く。
お母さんは少し申し訳なさそうに、こう言われました。
「この子、落ち着きがなくて…。性格なんでしょうね。」
でも、話を聞いていると「性格」だけで片づけるには、なんだか違和感がある。
子どもは自分で環境を選べません。
「これ、さすがに刺激強すぎない?」と判断してブレーカーを落とす、なんてことはできないですよね。
だからこそ、どんな環境を”ふつう”として身体に覚えさせるか――ここは、大人がつくってあげる「基礎・土台」の部分だな、と感じています。
1. 子どもの「感覚の基礎」は、毎日の環境で決まる
感覚の土台=「これくらいがふつうだよ」という身体の記憶
子どもの感覚は、こんなものでできています。
- 耳:音の大きさ・反響・ざわざわ感
- 目:光の強さ・ちらつき・色の多さ
- 肌・からだ:温度差・風・触れる素材
- 鼻:匂いの強さ・種類
- からだの動き:走れる/跳べる/ゴロゴロできる余白の有無
これらが毎日くり返されると、脳と身体は**「これくらいの刺激が”ふつう”なんだな」**と覚えていきます。
- それより静か → 物足りない・逆に不安
- それよりうるさい → しんどい・パニック
つまり、**家の環境そのものが「感覚の基礎工事」**になっている、ということです。
2. 刺激の強い環境で育つと、どうなりやすい?
ここで言う**「刺激が強い環境」**は、例えばこんな状態です。
- テレビや動画が常にON、音量もやや大きめ
- 真上からの強い白い照明で、画面もギラギラ
- 断熱が弱く、部屋ごとの寒暖差が大きい
- 柔軟剤や芳香剤の香りが強め
- 物が多く、視界が常に”ごちゃごちゃ”
起こりやすいこと
もちろん個人差はありますが、こんな傾向が出やすくなります。
集中が細切れになる
→ ちょっと座っては立ち上がる、宿題が続かない
眠りが浅くなりやすい
→ 寝つきに時間がかかる、夜中に起きる
音・匂いに敏感 or もっと強い刺激を求める
→ ちょっとした音でイライラ/逆に大きい音の遊びじゃないと満足できない
癇癪・兄弟げんかが増えやすい
→ 本人も「なんでこんなにイライラするのか」自分で分からない
ここでポイントなのは、「子どもの根性が足りない」でも「親のせい」でもないということ。
ただただ、環境から入る**”音量”が全体的に大きすぎる**だけかもしれません。
3. じゃあ、何を「基準」にしてあげればいい?
目指したいのは「自然に近い”中くらい”」
刺激ゼロが良いわけではありません。大事なのは、**自然寄りの”中くらい”**です。
音の基準
- 人の声が普通に聞こえる
- テレビは「常につけっぱなし」ではなく、時間を決める
- 反響しすぎない(硬い床・天井・壁ばかりにしない)
光の基準
- 真上からの強い白い光より、横からの自然光+やわらかい照明
- 画面の明るさが、部屋全体を支配しない
温度の基準
- 冬の廊下・トイレ・脱衣室だけ”極端に寒い”をつくらない
- エアコンの風が直接当たり続けない
- 福岡・北九州のような湿度の高い地域こそ、**断熱+気密+換気で「じんわり一定」**が大事
匂い・空気の基準
- きつい香料より、木・ごはん・土のような落ち着く匂い
- 換気でこもった匂いを追い出しつつ、化学物質の少ない素材・洗剤を選ぶ
情報の基準
- 視界に入る「モノの量」を絞る → 片づけというより、「見えすぎない収納」の工夫
- 壁一面キャラクターではなく、少し余白のある風景・色合い
4. 福岡・北九州の注文住宅でできる「感覚の土台づくり」
ここからは、北九州の工務店としての目線でお話します。
福岡・北九州は、冬はそこそこ冷え、一年を通して湿度も高め。外の道路交通量も多く、音のストレスも無視できません。
だからこそ、家の中だけは**「静かで、温度差が少なく、呼吸しやすい」**環境にしておきたいのです。
① 音のストレスを減らす設計
- 断熱材・窓・外壁の組み合わせで外の車の音・雨音をやわらげる
- 内装は、すべてツルツルの石膏ボード+ビニールクロスではなく
- 木の床
- 漆喰や紙クロス
- カーテンやラグ
など**「音を吸ってくれる素材」**を混ぜる
→ 子どもの声が、耳に突き刺さらず”まるく”響きます
② 光と視界の設計
南側の窓は、**「光そのもの」より「取り入れ方」**が大事
- 必要以上に大きく開けすぎて、夏まぶしすぎるリビングより
- 程よい大きさ+カーテン・ブラインドで調整できる方が、子どもの目にはやさしい
キッチンやダイニングの照明も、
- コンビニのような白い強光ではなく、少し色温度を落としてやわらかく
③ 温度・湿度の土台(断熱と換気)
福岡・北九州のような地域では、**「冬のヒートショック」と「夏のベタベタ」**がセットでやってきます。
だからこそ、
- UA値(外へ逃げる熱の少なさ)
- C値(家のすき間の少なさ)
をある程度きちんと押さえた上で、
- 家じゅうの温度差を小さくする
- 換気で湿度と空気を整える
これにより、子どもの身体は**「今日は暑い?寒い?どっち?」の判断にエネルギーを使わずに済む**ようになります。
④ 「こもれる場所」を用意する
わずか1畳でもいいので、
- 少し暗め
- 音が届きにくい
- ふわっとしたクッションや布がある
そんな**「避難コーナー」**があると、子どもは自然とそこを見つけていきます。
ここは、兄弟げんかしたときの避難場所にもなりますし、「疲れたから、ちょっとここで本読んでくる」という自分なりの回復行動を育てる場所にもなります。
5. まだ家を建てない方・賃貸の方でもできる小さな工夫
「今は賃貸だから、家は変えられない…」という方も多いと思います。
そんなときは、「全部」ではなく**”いくつかのスイッチ”を変える**イメージで考えてみてください。
できることの例
-
テレビやタブレットの「時間」と「場所」を決める
→ ごはんの時間だけは画面オフなど -
照明を一灯だけでも変えてみる
→ 間接照明やスタンドライトを足して、夜はそちらをメインに -
寝室だけは「香り控えめ・光控えめ・音控えめ」にする
-
子どもの高さから見える場所に、おもちゃや本を**”ぎゅうぎゅう詰め”にしない**
-
窓まわりのすきま風を、簡単な対策(すきまテープ・カーテンの見直し)で減らす
家全体が理想でなくても、「ここだけは落ち着ける」という場所・時間が一つあるだけで、子どもの感覚の土台はだいぶ違ってきます。
6. うまくいっているかどうかは「生活反応」で見る
数字や理屈も大事ですが、最後はやっぱり**「暮らしの様子」**です。
こんな変化が出てきたら、環境づくりがうまくいっているサインかもしれません。
- 寝つきが少し早くなった
- 朝の表情が、前よりやわらかい
- 休日の午後、「なんとなく静かに遊ぶ時間」が増えた
- 音や匂いに対して、イライラする頻度が減った
- 親自身も、「家にいるとホッとする」と感じる瞬間が増えた
子どもの感覚の土台は、親の感覚と、かなりリンクしています。
「自分がホッとできる家か?」それを基準に考えてみるのも、立派な指標です。
7. ビオハウジングからのご提案と、少しだけ宣伝
ビオハウジングは、福岡・北九州で**「住まい × 健康」**をテーマにしたちいさな工務店です。
数字としての性能(断熱・気密)だけでなく
そこで暮らす家族――特に子どもの感覚が、どんな”ふつう”を身につけていくか
ここを大事にしながら、設計・素材選び・現場管理をしています。
「うちの子、なんだかいつも落ち着かない」
「家がにぎやかすぎる気がするけど、何から見直せばいいか分からない」
そんなモヤモヤがある方は、一度、暮らし方と家のつくり方をセットで相談してみませんか?
- 完成見学会や構造見学会
- 個別相談・土地探しの段階からのご相談
なども行っています。
福岡・北九州で**「子どもの感覚の土台を、家から整えたい」**という方は、お気軽にお問い合わせください。
一緒に、ご家族にとっての**”ちょうどいい刺激”**を探していけたらうれしいです。
よくある質問
Q1. 感覚が敏感な子どものために、まず何から変えるといいですか?
「寝る前の1〜2時間」と「寝室の環境」からがおすすめです。一日の終わりの環境を整えると、睡眠の質が上がりやすく、日中のイライラや不安定さも少しずつ落ち着いてくることが多いです。
- 画面を控えめにする
- 照明を少し暗く・あたたかい色にする
- 匂いの強いものを避ける
- 寝室だけは”静けさ優先”
このあたりから始めると、ご家族全体にも良い影響が出やすいです。
Q2. テレビやタブレットは、どのくらい見せても大丈夫?
時間の「長さ」だけでなく、「区切り」も大事です。ダラダラつけっぱなしにするよりも、
- 見る時間帯を決める
- 「見終わりの儀式」(歯みがき・お風呂・読書など)をセットにする
ことで、子どもの脳が「オンからオフ」に切り替えやすくなります。どうしても長めになる日は、その分だけ、後で静かな時間を少し長くとってあげる意識があると良いですね。
Q3. 賃貸でも、子どもの感覚の土台づくりはできますか?
できます。全部を変えなくても大丈夫です。
- カーテン・ラグ・クッションなど「布」を増やして音をやわらげる
- スタンドライトを一つ足して、夜はそちらをメイン照明にする
- 寝室だけは香り控えめ・光控えめにする
- テレビやおもちゃの”定位置”を見直す
など、**「一部だけ静けさゾーンをつくる」**だけでも、子どもの感覚には違いが出てきます。
Q4. 福岡・北九州の気候で、子どもの感覚にやさしい家づくりのポイントは?
「湿度」と「温度差」を小さくすることが大きなポイントです。
- 冬の冷え込み+湿気で、体感温度が下がりやすい
- 夏は蒸し暑さで、身体が常にベタベタ・ダルい
この地域では、
- 断熱性能(UA値)
- 気密性能(C値)
- 換気や冷暖房の計画
をセットで考えて、**「じんわり一定で、息がしやすい空気」**をつくることが、子どもの感覚・自律神経にとってもやさしいと感じています。