カビは「湿度」だけじゃない。福岡・北九州の注文住宅で考える“冷え・よどみ・水分”の話
こんにちは。
福岡のビオハウジング、健康オタクの住宅設計士 竹森哲也です。
北九州で自然素材の注文住宅をつくる工務店として、設計から現場まで一貫して見ています。
また、このにおいだ…。梅雨前の小さなストレス
梅雨が近づくころ。
脱衣室の扉を開けた瞬間、ふわっと「もわっ」とした空気が出てくることがあります。
「…気のせいかな」
そう思いながら奥の収納に手を伸ばすと、なんとなく鼻がツンと反応する。
掃除もしている。
換気扇も回している。
それでも、少しするとまた戻ってくる、あのカビっぽいにおい。
これ、地味なんですけど、けっこう気持ちを削るんですよね。
ちゃんとやっているつもりなのに、うまくいかない感じがするからです。
今日は、専門用語をできるだけ使わずに、
カビが増える条件と、家づくりでどう減らしていけるかを、順番にほどいてみます。

カビは「いるか、いないか」ではなく「育つか、育たないか」
まず、ここが大事です。
カビは、目に見えない小さな胞子(タネ)のような状態で、ふだんから空気中に漂っています。
だから、「家の中から完全にゼロにする」という考え方は、ちょっと苦しいんですね。
現実的なのは、
カビが育ちにくい条件にしていくことです。
カビが増えるのは、だいたいこの4つがそろったときです。
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水分
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栄養
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温度
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時間
この中でも、いちばんのきっかけになるのは 水分 です。
ホコリや皮脂、布や紙などが少しあって、そこに湿り気が続くと、カビはじわじわ増えていきます。
つまり、カビ対策の本当の入口は、
湿ったままの時間をつくらないことなんです。
「湿度が高い」だけではなく、“冷えた面”の近くで起こりやすい
カビの話になると、
「湿度が高いからですね」で終わってしまうことが多いです。
もちろん湿度は大事なんですが、
実際にはそれだけでは説明しきれません。
同じ部屋の中でも、
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北側の壁
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窓まわり
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外壁の角
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収納の奥
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家具の裏
こういう場所だけ、なんだかじっとりすることがあります。
部屋全体はそこまで湿っていなくても、
冷えた面の近くでは、空気が水分を抱えにくくなって、湿りやすくなるからです。
たとえるなら、部屋全体は流れている「川」で、
収納の奥や家具の裏は、水がゆるく溜まりやすい「よどみ」のようなものです。
カビは、その“よどみ”が好きなんですよね。
カビは「温度差 × 湿気 × よどみ」で考えると見えやすい
家の中でカビが起こる条件を、私はこう整理するとわかりやすいと思っています。
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温度差
冷えた面がある -
湿気
水分が出る、たまる、残る -
よどみ
空気が動かず、乾くチャンスが少ない
この3つが重なると、カビが育ちやすくなります。
逆に言うと、
このうちどれか1つでも崩せると、リスクはかなり下げられます。
だから、カビ対策は「薬をかける」前に、
その場所がなぜ乾きにくいのかを見ることが大切なんです。
ケース1:脱衣室から収納にかけての「もわっ」としたにおい
このケース、かなり多いです。
お風呂に入る。
洗濯をする。
室内干しも近くでしている。
そうなると、脱衣室は家の中でも湿気が集まりやすい場所になります。
その状態で、
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扉を閉めっぱなし
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収納の奥まで空気が回らない
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換気は回しているけど、湿気が抜けきらない
という条件が重なると、
まずはにおいが出てきて、そのあとにカビへつながっていきます。
こういう対策が効きやすいです
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濡れたタオルをためこまない
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入浴後はしばらく扉を少し開けておく
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換気扇のフィルターやダクトを見直す
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収納の奥まで空気が動くようにする
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室内干しの近くに排気や除湿の考え方を入れる
ここでよくあるのが、
「換気しているつもりなのに、なんで?」という感覚です。
でも実際には、
換気扇が回っていること と
その場所が乾いていること は、同じではないんですよね。
ケース2:北側の部屋、クローゼット、家具裏の黒い点
もう一つ多いのが、北側です。
北側の部屋は日差しが入りにくいので、壁の表面が冷えやすくなります。
すると、その近くの空気だけ湿りやすくなって、さらに家具裏やクローゼットの中で空気が止まると、じわじわ黒い点が出てきます。
この場合、掃除だけで追いかけるのはしんどいです。
また出てくるからです。
大事なのは順番で、
まずは
冷えた面をつくりにくくすること。
次に
空気の通り道をつくること。
さらに
家具を壁にぴったり付けすぎないこと。
この順で見ていくと、原因がかなり整理しやすくなります。
福岡・北九州の暮らしでは、「窓を開ければ解決」とも言い切れない
ここ福岡・北九州では、季節によって悩み方が少し変わります。
春先は、花粉や黄砂、PM2.5が気になる日がある。
梅雨から夏は、外の空気そのものが重たくて、窓を開けても湿気が入ってくる日がある。
だから、昔ながらの
「とにかく窓を開けて風を通せば大丈夫」
だけでは、うまくいかない場面も増えてきています。
もちろん窓を開ける気持ちよさはあります。
でも、毎日の暮らしとして考えると、
窓を開けなくても、空気と湿気が整いやすい家
のほうが、今の気候には合っている部分があると感じます。
家づくりでできる、カビの前提条件を減らす5つのこと
ビオハウジングで大切にしているのは、
カビやにおいを「住まい手の努力だけ」にしないことです。
設計の段階から、次の5つを意識しています。
1. 温度差を小さくする
断熱と気密を整えて、壁や床の表面が冷えにくい状態をつくる。
数字だけではなく、実際の表面温度のムラまで見ていきます。
2. 湿気の出口を決める
脱衣室、浴室、キッチン、室内干し。
水分が出る場所には、きちんと外へ抜ける出口をつくることが大事です。
3. よどみをつくらない
収納の奥、北側の部屋、家具裏。
こういう場所に空気が動くよう、間取りと換気の流れを考えます。
4. 素材と納まりを整える
無垢材、漆喰、塗り壁、セルロースファイバーなど、
自然素材の力も借りながら、急な湿気の変化をやわらげていきます。
あわせて、ホコリがたまりにくい形や納まりも大切です。
5. 暮らし方までセットで考える
どこで室内干しをするか。
加湿器をどこに置くか。
お風呂上がりにどう換気するか。
家は器なので、使い方まで一緒に考えると、かなり変わってきます。
ビオハウジングの家が目指していること
ビオハウジングでは、
カビやにおいを「しょうがない」とは片づけたくありません。
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冷えた面を減らす
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湿気の出口をつくる
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空気の流れを整える
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自然素材で空気環境をやわらかく支える
そうやって、
“増えにくい家”に寄せていくことは、ちゃんとできると思っています。
そして、そのために
設計から現場まで一貫して見ています。
図面の中では良さそうでも、現場で少し納まりが変わるだけで、空気の流れや湿気の抜け方は変わることがあります。
だからこそ、紙の上だけで終わらせず、現場まで通して見ていくことが大切なんですよね。
「うちの間取りだと、どこがカビの起点になりやすいんだろう」
そんなことも、図面の段階から一緒に整理できます。
気になることがあれば、気軽にご相談ください。
ご家族の暮らし方と、福岡・北九州の気候に合わせながら、無理のない形でほどいていけたらと思っています。
FAQ(人が読む用)
Q1. 室内の湿度は何%くらいを目安にするといいですか?
湿度の数字だけで決めきるのは難しいですが、50%前後をひとつの目安にしながら、北側の壁や収納の奥が冷えていないかも一緒に見るのがおすすめです。
Q2. 結露が見えなければ安心ですか?
見える結露がなくても、収納の奥や家具裏で“じっとり”が続くとカビは起こりやすくなります。においの変化もサインになります。
Q3. まずどこをチェックすればいいですか?
脱衣室、収納の奥、北側の部屋、家具の裏、窓まわりから見ると整理しやすいです。湿気・冷え・停滞が重なりやすい場所です。
Q4. 換気扇を回していれば大丈夫ですか?
回すことは大事ですが、湿気がちゃんと外へ抜けているかがもっと大事です。フィルターやダクトの状態でも効き方は変わります。
Q5. 自然素材の家ならカビは防げますか?
自然素材は助けになりますが、それだけで解決するわけではありません。断熱、換気、空気の流れ、暮らし方までセットで考えることが大切です。