黒い外壁の落とし穴?福岡・北九州の注文住宅で考えたい「色と熱」とメンテの話|ビオハウジング
こんにちは、福岡のビオハウジング 健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。
最近、打ち合わせをしていると
「外壁はやっぱり黒がカッコいいですよね!」
という声、本当に増えました。
たしかに黒い外壁は、写真映えもするし、シャープでおしゃれ。
でも、**「熱」と「寿命」と「暮らしやすさ」**の目線で見ると、
ちょっと立ち止まって考えたいポイントがいくつかあります。
今日は、黒い外壁の「弊害」と、福岡・北九州のような暑くて湿度の高い地域での付き合い方を、
できるだけやさしく整理してみます。

1. まずはイメージから:黒いTシャツと白いTシャツの違い
黒と白の外壁の話は、夏のTシャツでイメージすると分かりやすいです。
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真夏の炎天下で
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黒いTシャツ:すぐにジリジリ暑くなる
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白いTシャツ:同じ外気温でも、少しマシに感じる
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理由:
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黒は太陽光(特に赤外線)をたくさん吸収
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白は光を反射して、あまり熱をため込まない
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外壁も、基本はこれと同じです。
色そのものが「熱の吸収率」を変えてしまうんですね。
2. 黒と白の外壁、表面温度はどれくらい違う?
いくつかの実測データを見ると、夏の晴天時に
おおよそ、次のような目安がよく出てきます。
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白い外壁:約35〜40℃
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グレー系:約45〜50℃
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黒い外壁:約55〜65℃
つまり…
白と黒では、外壁表面で15〜25℃も差が出ることがある
外気温が35℃の日に、
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白い外壁は「ちょっと熱いかな」くらい
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黒い外壁は「フライパンに手を近づけたとき」くらいの熱さになるイメージです。
小さなお子さんが、
夏の午後に黒い外壁や黒い手すりを触ると
「アチッ!」となる危険がある温度帯です。
3. 「じゃあ黒い外壁だと室内も灼熱?」の答え
ここが少しややこしいところですが、
「外壁が熱い = そのまま室内も激アツ」ではありません。
3-1. 断熱性能がしっかりしている場合
断熱等級5レベルの住宅での実験では、
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外壁表面:黒い外壁が白より約10℃高かったのに対し
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室内側の壁:差は約1〜2℃程度しか出なかった、という結果もあります。
つまり、
断熱がきちんとしていれば、
色の違いだけで室内温度が大きく変わるわけではない
というのが現代の高断熱住宅の基本的な考え方です。
3-2. 断熱性能が足りない・古い家の場合
ただし、
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断熱材が薄い
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壁の中の通気が不十分
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窓の性能が低い
という家では、黒い外壁による熱の影響を室内が受けやすく、
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冷房が効きづらい
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エアコンがフル稼働で電気代アップ
という結果になりやすいのも事実です。
「黒い外壁の家=絶対に暑い」ではなく、
「断熱が弱い家で黒を選ぶとダメージが大きい」
という整理が、いちばん現実的かなと思います。
4. 黒い外壁の“見えにくい”弊害
黒の外壁で、私が特に気にしているのは
「室温」よりも、外壁そのものの寿命や、暮らしやすさの方です。
4-1. 外壁材・シーリングの劣化が早くなる
黒い外壁は、夏場に60℃近くまで温度が上がり、
夜になると一気に温度が下がります。
この「昼は激アツ → 夜はひんやり」という
大きな温度差が毎日くり返されると、
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サイディング材の膨張・収縮が大きくなる
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目地のシーリング(ゴム)が割れやすくなる
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塗膜のひび割れ・色あせが早まる
といったリスクが高まります。
特に、既製品サイディング+濃色塗装の組み合わせは、
「カッコいいけど、長期のメンテ費は覚悟が必要」なスタイルです。
4-2. 玄関・バルコニーまわりが暑すぎる
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南・西面に黒い外壁+黒い手すり+濃い色の床
→ 真夏の午後は、人が立っていられないほど熱くなることがあります。
暮らしの実感としては、
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玄関ポーチに立つと熱がモワッと上がってくる
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バルコニーの手すりや笠木が熱くて触れない
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小さなお子さんが裸足で出られない
こういった「体感のしんどさ」が出やすいです。
4-3. エアコンと周辺環境への負担
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黒い外壁は周囲の空気も温めるので、
近くにあるエアコンの室外機が、さらに熱い空気を吸い込むことになります。
その結果、
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冷房効率が落ちる
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室外機の寿命にも影響しやすい
という、ちょっと見えにくい負担もかかってきます。
5. 福岡・北九州の気候で黒を選ぶなら、ここは押さえたい
福岡・北九州は、
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夏の絶対湿度が高く、ムシムシ暑い
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日射も強く、外壁表面温度が上がりやすい
という、黒い外壁にはなかなか過酷なエリアです。
それでも「どうしても黒が好き」という方もいらっしゃいます。
その場合は、次のような**“折り合いのつけ方”**がおすすめです。
5-1. 「全面真っ黒」ではなく、配色で遊ぶ
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ベース:
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明るめ〜中間色(白〜淡いグレー、ベージュなど)
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アクセント:
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玄関まわりや窓まわりだけ、濃いグレー〜黒をポイント使い
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こうすると、
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デザインの締まり感は残しつつ
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熱負荷とメンテコストはグッと下げる
ことができます。
5-2. 方角で色を変える
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南・西面:
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なるべく明るめの色(日射が強い面)
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北・東面:
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濃い色・少し遊びのある色も採用しやすい
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というように、日射の強い面ほど明るくしてあげると、
暮らし心地とデザインのバランスが取りやすくなります。
5-3. 「色」だけでなく、セットで考えたいこと
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断熱性能(屋根・壁の厚み、セルロースファイバーなど)
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窓の性能(トリプルガラス・樹脂サッシ・日射取得/遮蔽のバランス)
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軒・庇(ひさし)や外付けブラインドでの日射コントロール
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バルコニー、玄関アプローチの仕上げ材(熱くなりにくい素材)
ビオハウジングでは、
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無垢材の床
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漆喰(塗り壁)
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セルロースファイバーの断熱
など、自然素材の家+高断熱をベースにしながら、
外壁の色も「体感温度」と「メンテ費」をセットで検討しています。
6. 住まいと健康から見た「外壁の色」という視点
黒い外壁=悪、白い外壁=善、という話ではありません。
大事なのは、
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その色がもたらす熱環境(体感温度)
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外壁の劣化スピードとメンテナンス費
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玄関や庭まわりの過ごしやすさ
を、**「福岡・北九州という気候」と「家族の暮らし方」**に
ちゃんと結びつけて考えることです。
たとえば、
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冬はヒートショックを防ぐために室内の温度差を小さくしたい
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夏はエアコンの風に頼りすぎず、やわらかい涼しさで過ごしたい
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子どもが素足で外と中を行き来しても危なくない家にしたい
そんな「暮らしの風景」から逆算していくと、
外壁の色選びも、ただの流行ではなく
**「健康住宅の一部」**として見えてくるはずです。
7. 設計者・プロ向けメモ:「温度差」を伝えるときのコツ
最後に、同業の工務店さんや設計者さん向けに、
お客様へ説明するときのシンプルな型も置いておきます。
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Tシャツのたとえから入る
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「真夏に黒いTシャツと白いTシャツ、どちらが暑いか?」
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ざっくり数値でイメージを固定する
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「白い外壁で35〜40℃くらい、黒い外壁で55〜65℃くらいになることもあります」
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室内は“断熱次第”だと伝える
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「外の差は15〜25℃あっても、断熱が良ければ室内は1〜2℃差に抑えられます」
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弊害は“温度そのもの”より“繰り返しのストレス”
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材料の伸縮・シーリング劣化・バルコニーの熱さなどに話をつなぐ
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最後に
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「黒をやめましょう」ではなく
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「どこに・どれくらい黒を使うか、一緒に作戦を立てましょう」
で締めると、対立にならずに済みます。
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このあたりは、ビオハウジングでも実際の打ち合わせでよく使っている伝え方です。
FAQ
Q1. 黒い外壁は、白い外壁と比べてどれくらい暑くなりますか?
A1. 実測データでは、夏の晴天時に白い外壁が約35〜40℃なのに対し、黒い外壁は約55〜65℃と、15〜25℃ほど高くなる例が報告されています。
Q2. 黒い外壁にすると、室内も必ず暑くなりますか?
A2. 断熱性能が高く、壁内の断熱施工がしっかりしている家では、外壁表面の温度差が10℃以上あっても、室内側の壁の温度差は1〜2℃程度に抑えられるケースが多いです。古い住宅や断熱が薄い家では、室温や冷房効率に影響が出やすくなります。
Q3. 黒い外壁のいちばんのデメリットは何ですか?
A3. 室温よりも、外壁材やシーリングの劣化が早まりやすいこと、玄関やバルコニーまわりが非常に熱くなりやすいことが大きなデメリットです。日々の大きな温度変化による膨張・収縮で、サイディングの反りや目地の割れが起こりやすくなります。
Q4. どうしても黒を使いたいときのコツはありますか?
A4. 全面真っ黒にするのではなく、ベースは明るめの色にして、玄関まわりや一部の面だけ黒や濃いグレーをアクセントとして使うのがおすすめです。また、南・西面は明るい色にし、断熱性能や窓・庇の設計とセットで検討すると、暑さやメンテナンスのリスクを減らせます。