子育てとペンフィールドのホモンクルス 手の感覚が脳を育てる、自然素材の家という選択
こんにちは、福岡のビオハウジング 健康オタクの住宅設計士
竹森哲也です。
あるお宅で、小さなお子さんが無垢の床をペタペタ触りながら、
「ここ、つるつるじゃなくて、ちょっとボコボコしてるね」
とニコッと笑ったことがありました。
大人は「傷にならないかな?」と心配そうにしているのですが、その横で子どもの脳は、床の木目と足裏の感触でフル回転しているはずです。
今日は、脳科学の「ペンフィールドのホモンクルス」という考え方を入り口に、
子育てでいちばん最初に育てたい感覚は何か?
そして、その感覚を伸ばす「自然素材の家」とは?
というテーマでお話ししてみます。
1. ペンフィールドのホモンクルスって、ざっくり言うと何?
ペンフィールドのホモンクルスとは、
カナダの脳外科医ペンフィールドが作った「脳の中のからだの地図」です。

手術中に、患者さんの脳を少しずつ刺激しながら、
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「今、どこを触られた感じがしますか?」
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「今、体のどの辺を感じますか?」
と聞いていき、その結果を地図にしたものを、人の形にして描いた図がホモンクルスです。
この図を見ると、とても特徴的です。
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手・唇・舌・顔まわり → ものすごく大きい
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背中・お腹・脚のすね → とても小さい
これは、
脳は「手や口の感覚」を、とても細かく・大事に扱っている
ということのあらわれです。
ホモンクルスが教えてくれるのは、
五感の中でも、とくに「触覚」「からだの感覚」は、子どもの脳の土台になる
という、子育てにとって大事なヒントです。

この写真のように脳の感覚が大きい部分が大きく作られています。
2. 子どもの脳は、「見る」前に「触って」世界を学ぶ
2-1. 赤ちゃんは、まず手と口で世界を知る
赤ちゃんを見ていると、
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何でもつかんで、
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口に入れて、
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なめて、噛んで、振って、落として…
と、ひたすら「触覚とからだの動き」で世界を確かめます。
ここで使われているのは、
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手の触覚(ざらざら、つるつる、冷たい、あたたかい)
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口の触覚(かたい、やわらかい、つるっと、ゴツゴツ)
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からだの位置感覚(ここにある、重い・軽い)
などの体性感覚。
この「体性感覚」こそが、ペンフィールドのホモンクルスで大きく描かれている領域です。
2-2. 手の感覚が豊かな子は、脳の「配線」が増えやすい
手や指先をたくさん使うと、
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物をつまむ・にぎる・こねる
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紙をちぎる・折る・丸める
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土や砂を握る・水をすくう
といった細かな動きが増えます。
すると脳の中では、
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触覚のエリア
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運動のエリア
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言葉・感情のエリア
が一緒に動き、配線(シナプス)がどんどん増えていくと言われます。
その結果として、
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集中しやすい
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イメージしやすい
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言葉がつながりやすい
といった、「お勉強よりも手前の力」が育ちやすくなります。
2-3. 視覚・聴覚の前に、「触覚の安心」が必要
五感はどれも大切ですが、
ホモンクルスを見ていると、こんな順番がしっくりきます。
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まず、触覚・からだの感覚で「自分の輪郭」がわかる
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その上で、視覚・聴覚で「外の世界」をたくさん取り込む
からだの輪郭があいまいで、
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床がいつも冷たい
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どこに座っても落ち着かない
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触ると怒られそうな物だらけ
という環境だと、
視覚や聴覚の情報ばかりが強くなり、心とからだが落ち着きにくくなることがあります。
3. プラスチック環境と自然素材の家、触覚の「教材」として何が違う?
3-1. プラスチック中心の家:どこも同じ「つるつる・ペタペタ」
最近の住宅やマンションで多いのが、
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ビニール床シート
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合板フローリング(木目シート)
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ビニールクロスの壁
といった「人工素材」の組み合わせです。
これらはもちろん、掃除しやすい・安い・施工が簡単というメリットがありますが、
触覚の視点で見ると、こんな特徴があります。
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どこを触っても、ほぼ同じ質感
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温度は「冷たい」か「ベタッ」とした感じになりがち
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経年変化もあまりなく、「いつも同じ」
子どもの脳からすると、
「触っても、情報が少ない世界」
になりやすいのです。
3-2. 自然素材の家:毎日変わる「触覚の教科書」
一方で、無垢材・漆喰などの自然素材の家には、こんな特徴があります。
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無垢材の床
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木目・節・板ごとの硬さが微妙に違う
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季節や湿度で「さらさら」「しっとり」が変わる
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冬も、適切な断熱があれば「ヒヤッとしにくい」
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漆喰(しっくい)の塗り壁
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指でなぞると、ほんのり粉っぽく、ざらっとしている
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光の当たり方で、表情が変わる
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静かな音環境(反響音がやわらぐ)につながる
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つまり自然素材の家は、
床・壁そのものが、毎日無料で使える「触覚の教科書」
になってくれます。
ここに「健康住宅」らしいメリット――
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調湿性(湿度を調整してくれる)
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室内空気の質(室内空気のVOCを減らしやすい)
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体感温度の安定(壁・床の表面温度が下がりにくい)
が加わると、
触覚 × 空気環境 × 体感温度
がそろって、**子どもが落ち着きやすい「いのちの環境」**になっていきます。
4. 福岡・北九州の子育て家庭ができる「触覚を育てる家づくり」
ここからは、福岡・北九州で実際に家づくりをしている立場から、
具体的な工夫をいくつかご紹介します。
4-1. 床:素足でペタペタしたくなる無垢材+断熱
福岡・北九州は、夏は湿度が高く、冬は底冷えもしやすい地域です。
この地域で子どもの触覚と体感温度を守るには、
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無垢材の床(天然木)+しっかりした断熱(Ua値だけでなく表面温度も意識)
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冬でも床表面温度が20℃前後になるような断熱・気密
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スリッパ前提ではなく、「素足でペタペタ」が前提の仕様
にしてあげることが、とても大きな意味を持ちます。
子どもにとって、
「この床はあったかくて安心」という記憶は、
からだの奥の安心感(安全基地)の感覚
につながっていくように感じます。
4-2. 壁:触っていい漆喰・塗り壁
ビオハウジングでは、子育て世代のお宅ほど、
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漆喰や自然塗料を使った塗り壁をおすすめすることが多いです。
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コテ跡を少し残したり、角をやわらかく丸めたりして、
**「触ってもいい壁」「もたれてもいい壁」**にしていきます。
そうすると、
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子どもが指でなぞる
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手形をつけてしまう
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壁にもたれて本を読む
といった何気ない行動が、すべて触覚の経験になっていきます。
少し汚れたり傷がついたりしても、それを一緒にメンテナンスすることで、
「家を一緒に育てている」という感覚
も、親子の中に生まれてきます。
4-3. におい・空気環境:人工的な香りは控えめに
ホモンクルスは触覚の地図ですが、現実の暮らしでは嗅覚も大事なパートナーです。
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芳香剤や柔軟剤の強い香りより、
→ 木の香り、季節の空気、料理の匂い -
PM2.5や花粉、黄砂が多い福岡・北九州では、
→ 適切な換気計画+静電気式空気清浄機で、室内空気を整える
こうした工夫をすることで、
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「においでごまかさない」室内空気
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子どもの嗅覚が、自然な香りをちゃんと感じられる環境
が整っていきます。
触覚と嗅覚が両方落ち着いて働けると、脳全体も落ち着きやすくなります。
4-4. 「触っちゃダメ!」を減らす収納とゾーニング
触覚を育てるのに、いちばんブレーキになるのが、
「それ触らないで!」
「そこはダメ!!」
と、毎日大人が叫ばないといけない間取りと収納です。
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割れ物や大事なもの → 高い位置/扉付き収納へ
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子どもの手が届く範囲 → 触ってもいい素材・おもちゃだけ
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リビングの一角に「触っていい自然素材コーナー」
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木のおもちゃ
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石・木の枝・どんぐり
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布・ロープ・紙 など
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家の中に、
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触っていいゾーン
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みんなで大切にするゾーン
を分けてあげることで、「触りたい!」と「壊したくない」の両立がしやすくなります。
5. 2つの子育てケースから見える変化
ケース1:アパートから自然素材の注文住宅へ
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Before(ビニール床の賃貸)
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床が冷たく、スリッパが手放せない
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子どもはソファやベッドの上で過ごす時間が長い
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「じっと座っていない」「すぐ立ち歩いてしまう」と悩み
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After(福岡・北九州で建てた自然素材の健康住宅)
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無垢の床に素足でペタペタ歩く
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床に寝転んで本を読む・積み木をする時間が増えた
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夜の寝つきが良くなったと感じる
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お母さんの一言が印象的でした。
「この家に来てから、
“落ち着きなさい!”と言う回数が減りました。」
床・壁・空気の「触覚の安心」が、
子どもの行動やリズムにまで波及していくことを、現場で何度も感じます。
ケース2:マンションでもできた“小さな触覚リフォーム”
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元々は、フルビニール・クロス張りのマンション
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子どもの遊び場だけ、無垢フローリングと漆喰壁にリフォーム
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ソファを少し小さくして、床のスペースを広く確保
すると、
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子どもが床で過ごす時間が増えた
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おもちゃを広げて、じっくり遊ぶようになった
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「テレビをつけっぱなしにしなくても、遊ぶようになった」
という変化がありました。
大がかりな注文住宅ではなくても、
「毎日いちばん長くいる場所」を
触覚にやさしい自然素材のコーナーにする
だけでも、子どもの脳に届く“情報の質”は、かなり変わってきます。
6. まとめ:ホモンクルスが教えてくれる、子育てと家づくりのヒント
ペンフィールドのホモンクルスは、
脳の中にある「からだの地図」を、ちょっと不思議な人形にしたものです。
その姿から見えてくるのは、
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脳は、手・口・顔まわりの触覚をとても大切にしていること
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子どもは、まず「触る」「口に入れる」「からだを動かす」ことで世界を学ぶこと
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その土台が整っているからこそ、視覚・聴覚の世界が豊かになること
そして家は、その触覚の経験を毎日くり返す「ステージ」です。
家は、雨風をしのぐ箱ではなく、
子どもの脳と感性を育てる「触覚の教室」
福岡・北九州で、子育て世代の注文住宅やリフォームをお考えの方へ。
「うちの子にとって、どんな床・壁・空気がいちばん安心な教材になるだろう?」
そんな視点で、一緒に家づくりを考えていけたらうれしいです。
FAQ
Q1. 子どもの脳の発達に、一番大事な感覚は何ですか?
A1. 五感はどれも大切ですが、ペンフィールドのホモンクルスを見ると、手や口まわりの触覚に脳の大きな面積が割かれていることが分かります。そのためビオハウジングでは、触覚やからだの感覚を「ほかの感覚を支える土台」と考え、子どもが手足で自然素材に触れられる家づくりを大事にしています。
Q2. 無垢の床とビニール床で、子どもの発達に違いはありますか?
A2. 無垢の床は、木目や節、季節によるさらさら・しっとりの変化など、触覚の情報がとても豊かです。一方ビニール床は、どこを触ってもほぼ同じ質感になりやすく、脳に入ってくるデータが少なくなりがちです。「毎日いちばん長く触れる場所ほど自然素材にする」と、足裏や手の感覚を育てやすくなります。
Q3. マンション暮らしでも、触覚を育てる工夫はできますか?
A3. できます。たとえば、一部屋だけ無垢フローリングにする、壁の一面だけ漆喰にする、ソファを小さくして床にゴロゴロできるスペースを作るなど、小さなリフォームでも効果があります。木や布のおもちゃ、石や枝などの自然素材を日常的に触れられる場所に置くことも良い方法です。
Q4. 自然素材の家は、お手入れが大変ではありませんか?
A4. 合板フローリングやビニールクロスに比べると、傷や汚れが「隠れにくい」側面はありますが、その分「家の変化を一緒に楽しむ」ことができます。オイルを塗ってメンテナンスしたり、子どもの落書きも少し残しながら暮らしたり、経年変化とともに愛着が増すと、「大変さ」よりも「家族の歴史」が勝ってくるという声をよくいただきます。