「室温は高いのに寒い…」その正体は“放射温度”|福岡・北九州の注文住宅で考える断熱と体感温度
こんにちは、福岡のビオハウジング 健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。
冬になると、こんな経験はありませんか?
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エアコンの設定温度は24℃
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室温計も「22〜23℃」を指している
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なのに、窓際やソファに座ると妙に寒い、足元がスースーする
若い頃の私は、「じゃあもう1℃上げよう」「風量を強くしよう」と、ひたすらエアコンに頑張ってもらっていました。
でも、電気代は上がるのに、体の芯がなかなか温まらない…。
後になって建築の勉強を深めていく中で、ようやくわかりました。
寒さの正体は、「空気の温度」ではなく
私たちの体温が、壁や窓にじわじわ奪われていくことだったのです。
今日は、
**体温36℃の私たちと、10〜15℃の外壁・窓との間で起きている「熱の移動」**を、できるだけやさしくお話しします。

「寒い」は温度の数字ではなく、“体温が逃げる感覚”
まず前提として、人の体温はだいたい36〜37℃。
ただし、皮膚の表面はもう少し低くて、32〜34℃くらいと思ってください。
ここに、冬の外壁・窓の温度が
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外気側:5〜10℃
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室内側表面:断熱が弱い家で10〜15℃
くらいに下がっているとします。
このとき、何が起きているかというと、
「体温36℃ → 壁15℃」へ向かって、じわじわと熱が流れ続ける
これを、脳が「寒い」と感じます。
まるで、自分の体が**“冷蔵庫の壁と向かい合っている”**ようなイメージです。
たとえ空気が22〜24℃あっても、目の前の壁や窓が冷たければ、体温を吸い取られてしまうんですね。
熱の移動は3つあるけれど、「放射」が意外と大きい
熱が移動する道は、主にこの3つです。
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伝導(でんどう)
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冷たい床に素足で立つと、一瞬で「ヒヤッ」とするあれです。
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無垢材の床が「ヒヤッとしにくい」のは、伝導がやわらかいから。
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対流(たいりゅう)
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冷えた窓の前で冷たい空気が下がり、床を這って戻ってくる「コールドドラフト」。
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「窓際だけスースーする」「足元だけ冷たい」はこれ。
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放射(ほうしゃ)
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離れていても、暖かいストーブの前がポカポカするのと同じ。
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逆に、冷たい壁・窓に向かって、自分の体温をじわじわ渡してしまうのも放射。
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この3つのうち、**断熱性能や窓性能でコントロールしやすいのが「放射」**です。
断熱が弱く、窓の性能が低いと、室内側の壁・窓の表面温度が下がり、
「人体36℃ → 壁15℃」みたいな**温度差の“橋”**ができてしまう。
この橋を通って、体温が抜け続けてしまうわけですね。
「体感温度」は、空気と“放射温度”の平均で決まる
専門用語になりますが、
周りの壁や窓、天井、床の表面温度の平均を「平均放射温度(MRT)」と呼びます。
難しく聞こえますが、ざっくりイメージとしては、
体感温度 ≒(空気温度 + 平均放射温度)÷2
(※風がほとんどない室内の場合の目安)
と考えてみてください。
ケースA:空気は暖かいのに寒い家
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室温(空気):24℃
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壁・窓の表面温度:14〜16℃
→ 体感温度のイメージ
(24+15)÷2=19.5℃
室温計は24℃なのに、体感は19〜20℃くらい。
「なんか寒いから、もう1℃上げよう…」となりがちです。
ケースB:空気はそこまで高くないのに暖かい家(高断熱)
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室温:20℃
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壁・窓の表面温度:19℃
→ 体感温度のイメージ
(20+19)÷2=19.5℃
数字上の“体感温度”は同じでも、
風をガンガン出さなくても、じんわり落ち着いた暖かさになります。
この差が、「空気をいくら温めても意味がない」という言い方の中身です。
空気ばかり温めると、何が起きるか
空気温度だけを上げていくと…
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エアコンの風量・消費電力が増える
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室内の相対湿度が下がり、乾燥肌・のどのイガイガが出やすくなる
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頭だけボーッと暑いのに、足元は冷たいまま
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「健康住宅」どころか、頭痛や眠りの質の悪化につながることも
福岡・北九州のような地域は、冬でも湿度が高めの日があり、
ヒートショック(急激な温度差)も心配です。
だからこそ、
エアコンの設定温度を上げる前に、
そもそもの**「壁・窓・床の表面温度」=放射温度を高く保つ設計**が大事
になってきます。
福岡・北九州の注文住宅で「放射温度」を上げる設計ポイント
ここからは、工務店としてどこを意識しているかを少し具体的に。
1. 断熱の“量とつながり”を確保する
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壁・天井・床に、途切れなく断熱材を入れる
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セルロースファイバーやウッドファイバーのような、
熱をゆっくり動かす断熱材は、時間軸でも体感を安定させます -
壁の中に「スカスカ部分」や「押しつぶし」があると、そこだけ表面温度が下がります
2. 窓性能を上げる(ここが体感に直結)
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アルミサッシ+単板ガラスは、表面温度がグッと下がります
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樹脂サッシ+Low-E複層ガラス、場合によってはトリプルガラスを選ぶと、
冬でも窓際のヒヤッと感が大きく減ります -
大きな開口をつくるなら、方角と目的(眺望/採光)をはっきりさせる
3. 熱橋(ヒートブリッジ)をつぶす
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バルコニーの取り付け部
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柱や梁が外気と室内を直結している部分
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サッシ周りや基礎の立ち上がりなど
こうした「熱の抜け道」があると、そこだけ外気に引きずられ、
表面温度が局部的に下がります。
結果として、「その場所だけ妙に寒い」ポイントができます。
施工と暮らしでできる“ひと押し”
施工段階:気密と丁寧さ
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**C値(家のすき間の少なさ)**を意識した施工で、すき間風を減らす
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断熱材の継ぎ目、コンセント周り、配管周りを丁寧に処理
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これにより、空気の対流が落ち着き、表面温度も安定しやすくなります
暮らし方:温度計+“壁の温度”も見る
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室温計だけでなく、
赤外線温度計が1つあると、壁や窓の表面温度が見えてきます -
「あ、この窓だけ15℃しかない」「この外壁面だけ冷たい」というのが
体感とピタッと結びつくと、家の課題がとても整理しやすいです -
家具の配置で、冷たい窓ガラスの正面に長時間座らないようにするのも一つの工夫
自然素材は「触れたとき」と「空気」に効く
ビオハウジングでは、
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無垢材の床(天然木)
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漆喰や塗り壁
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セルロースファイバーなどの自然素材断熱
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自然塗料
といった素材をよく使います。
これらは、
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足裏のヒヤッとした冷え(伝導)をやわらげる
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室内の湿度を調整し、乾燥肌や喉のイガイガを和らげる
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化学物質やVOCを抑え、空気環境を整える
といった形で、「体感温度」と「健康住宅」の両方を支えてくれます。
ただし、
“寒さ”そのものの根っこは、やはり断熱と窓性能による「放射温度」。
自然素材+しっかりした断熱設計、この組み合わせでこそ、
本当の意味での自然素材の家になっていくと考えています。
ビオハウジングがめざしている冬の室内イメージ
福岡・北九州の気候を考えながら、私がいつも目指しているのはこんな冬の風景です。
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リビングも廊下も脱衣室も、温度差が小さい
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エアコンの風の音ではなく、子どもの足音や家族の声が聞こえる静けさ
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無垢の床に素足で立っても、「冷たっ!」とならない
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夜、布団に入るときに肩の力がふっと抜ける感覚
この「当たり前」の土台があると、
花粉やPM2.5、カビやダニといった空気環境の対策も、
一つひとつ効いてきます。
まとめ:寒さの正体を知ると、家づくりの優先順位が変わる
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寒さの正体は、「数字としての室温」ではなく
私たちの体温が、壁や窓に奪われていくこと -
その主役は、実は**“放射”による熱の移動**
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だからこそ、福岡・北九州で注文住宅を建てるときは
ただ「エアコンで空気を温めやすい家」ではなく、
壁・窓・床の表面温度(放射温度)を高く保てる断熱・窓設計が大切です。
「室温はあるのに寒い…」という違和感がある方は、
ぜひその感覚を大切にしていただきたいなと思います。
福岡・北九州で家を考え中の方へ(小さなご案内)
ビオハウジングでは、
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断熱性能(Ua値)
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気密性能(C値)
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放射を含めた体感温度
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自然素材と空気環境
をセットで考えながら、健康住宅としての住まいをご提案しています。
「窓際が冷える」「お風呂場だけ極端に寒い」「子どもが足元の冷えをいやがる」
など、今のお住まいで気になることがあれば、症状ベースでお話しください。
図面や温度データを見ながら、
**「どこから体温が逃げているのか」**を一緒に整理していきましょう。
FAQ(よくある質問)
Q1. 室温を上げても窓際が寒いのはなぜですか?
窓ガラスやサッシの表面温度が低いと、
そこに向かって体温が放射で奪われ続けます。
さらに窓の前で冷えた空気が下に落ちて「コールドドラフト」が起きるので、
足元だけスースーしてしまいます。
Q2. 放射温度(平均放射温度)って、どう測ればいいですか?
厳密に測るには専門の機器が必要ですが、
ご家庭では赤外線温度計で、壁・窓・床・天井の表面温度を測ってみてください。
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室温が20℃
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壁表面が19℃
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窓表面が15℃
…という感じで数字が見えてくると、
「どうりで窓際だけ寒いはずだ」と、体感とのつながりが一気にわかりやすくなります。
Q3. 暖房を強くするより、どんな対策が効果的ですか?
根本的には、
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断熱性能を上げる(壁・天井・床の断熱強化)
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窓性能を高める(樹脂サッシ・Low-E複層/トリプルガラス)
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熱橋(ヒートブリッジ)を減らす
ことで、壁・窓の表面温度そのものを上げるのが一番効きます。
そのうえで、
家全体をやさしく温める小屋裏エアコン+床下暖房のような方法を組み合わせると、
風をあまり感じず、静かで心地よい暖かさになります。
Q4. 無垢材や漆喰などの自然素材は、寒さ対策としても有効ですか?
自然素材は、寒さの“根っこ”である放射温度そのものを上げるというより、
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足裏の冷たさ(伝導)をやわらげる
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室内の湿度を調整し、乾燥肌や喉のイガイガを和らげる
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VOCなどの化学物質を減らし、空気環境を整える
といった形で、体感温度と健康面をサポートしてくれます。
ビオハウジングでは、
「しっかりした断熱・窓+自然素材」という組み合わせを大切にしています。