地震でサイディング外壁が割れやすい本当の理由【福岡・北九州の注文住宅工務店】
こんにちは、福岡のビオハウジング 健康オタクの住宅設計士 竹森哲也です。
地震のあと、外に出て家を見上げたとき、
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「あれ、サイディングに線みたいなのが入ってる…」
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「釘のところからヒビが伸びてる?」
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「目地(ゴム部分)に隙間が…」
と、不安になったことはないでしょうか。
実はこれは、サイディングという外壁そのものの「仕組み」と、地震で家が“しなる”動きの相性からくるものです。
今日は、福岡・北九州で多い 窯業系サイディング外壁を例に、
サイディングとは何か
どういう構造になっているのか
なぜ地震でヒビや割れが起きやすいのか
を、落ち着いて理解できるように整理していきます。
1|そもそも「サイディング」とは何か?
まずは言葉の整理からです。
● 一般的な「外壁=サイディング」のイメージ
今の日本の戸建て住宅では、
「外壁です」と言われるものの多くが、実はサイディングです。
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工場で板状に成形された外壁材を
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現場で貼り付けていく工法
が「サイディング外壁」。
中でも一番多いのが、窯業系(ようぎょうけい)サイディングと呼ばれるタイプです。
● 窯業系サイディングの素材
窯業系サイディングは、だいたいこんな材料でできています。
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セメント
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けい砂(砂)
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繊維(パルプなど)
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表面の薄い塗膜(工場塗装)
つまりざっくり言うと、
**「セメントを板に固めたものに、薄く塗装をかけた外壁材」**です。
2|サイディングの「得意」と「苦手」
● 得意なところ
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セメント系なので 「硬くて」「燃えにくい」
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工場製品なので 寸法やデザインが揃っている
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施工が比較的早く、コストも抑えやすい
→ だから日本中の注文住宅や建売で広く使われています。
● 苦手なところ(今回のポイント)
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セメント系で 硬い=変形には追従しにくい
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継ぎ目(ジョイント)が必ずできる
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継ぎ目は シーリング(ゴム状の材料)に頼る
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表面の塗膜は 薄く、10~15年ほどで劣化しやすい
塗膜やシーリングの劣化は「経年劣化」の話ですが、
地震のときには、この“硬さ”と“継ぎ目の構造”が一気に表に出てきます。
3|サイディング外壁の構造をイメージしてみる
サイディング外壁は、ざっくり分けるとこの3層です。
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① 外側:サイディング板(セメントの板)
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② 中間:通気層+防水紙
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③ 内側:構造用合板や柱・間柱(家の骨組み)
そして、サイディング板そのものは
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釘(くぎ)やビスで下地に固定
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板と板の間には 継ぎ目(目地)
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継ぎ目には **シーリング(ゴム・樹脂系)**が充填される
という構造になっています。
たとえるなら
「家の骨組み(木のフレーム)の上に、硬い鎧(サイディング板)を貼り、鎧と鎧の“つなぎ目”をゴムでつないでいる
というイメージです。
4|地震が来ると、家とサイディングに何が起きる?
● 家は「少ししなる」のが前提
耐震等級などをしっかり取っている家でも、
地震のときには “倒れない範囲でしなる” ことが前提です。
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建物全体がわずかに平行四辺形のように変形する(層間変形)
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柱・梁・耐力壁が「力を受け止めて」また元に戻ろうとする
● 硬いサイディングは“しなり”に弱い
一方でサイディング板は セメントでできた硬い板です。
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少しの曲げには耐えますが、
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大きな変形や「繰り返しの揺れ」には追従しにくい
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どこか1点に力が集中すると、そこから ひび割れや欠けが出やすくなります。

5|なぜ「釘で止めちゃいけないところ」が割れやすいのか
ここが、今回いちばんお伝えしたいポイントです。
● 本来は「動けるように」設計されている部分がある
サイディングには、メーカーごとに
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「ここには釘を打ってはいけない」
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「この部分は逃げ(スリット)として動けるように」
というルールがあります。
理由はシンプルで、
家が揺れたとき、全部をガチガチに固定すると板にムリが来るから
です。
少し“滑らせる・逃がす”ことで、板の割れを防ぐ設計になっています。
● ところが現場では…
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施工時に図面どおりいかず、釘を打ってはいけないところに打ってしまう
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釘やビスが 規定より多すぎる/端に寄りすぎる
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継ぎ目に近い部分を ガッチリ固定しすぎる
こうなると、
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本来「動いて逃がす」はずだった部分が 固定されてしまう
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地震で建物がしなったとき、その 歪みがそのまま板にかかる
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結果、釘穴まわりから放射状にひびが入る/板が割れる
ということが起きやすくなります。
人の関節で言うと、本来は動くはずの膝や肘をギプスで固めてしまい、
そのままジャンプさせられているような状態です。
6|継ぎ目(シーリング)が地震で割れやすい理由
● 継ぎ目は「関節+パッキン」
サイディングの継ぎ目は、
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板の動きを受け止める「関節」
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雨水を止める「パッキン」
という二役を担っています。
ここに充填されているのが シーリング(コーキング) です。
● シーリングの寿命と地震
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紫外線・温度差で 年々固く・痩せていく
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一般的には 10年前後がメンテナンスの目安
この状態で地震が来ると…
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すでに硬くなっているゴムに、一気に引っ張り・圧縮がかかる
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亀裂が入る/剥がれる/目地から離れる
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隙間ができる=雨水・外気の通り道 になりやすい
外壁の隙間から入った水や空気は、
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内側の防水紙や通気層である程度は守られますが、
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放置すると 内部の湿気・カビ・構造材の劣化 にもつながり、
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結果的に 室内空気・健康住宅としての空気環境 にも影響しやすくなります。
7|サイディングが「特に割れやすい場所」3つ
① 釘・ビスまわり
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釘頭の周りから ヒビが十字に伸びる
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板の端に近いところで止めていると 角からぱっくり欠ける ことも
② 継ぎ目に近い部分
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継ぎ目側だけガチガチに止められていると、
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地震の横揺れで 板がねじれて割れやすい
③ 窓まわり・建物の角
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開口部の四隅は 力が集中しやすい
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窓の角から斜めにヒビが入るケースも
こうした部位は、福岡・北九州のように 台風も地震もある地域 では、
点検のときに特に意識して見ておきたいポイントです。
8|「経年劣化のひび」と「地震由来のひび」のざっくり見分け方
※あくまで目安です。最終判断は専門家に。
● 経年劣化が中心のひび
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日当たりの強い南面・西面に多い
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シーリングの表面に細かいひび
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サイディングの塗膜に、塗装面だけの浅いクラック
● 地震で出やすいひび
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釘・ビスまわりから放射状に
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継ぎ目の片側だけ大きく開いている
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窓の角から斜めに走る
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家の各面で、同じ位置・同じ高さにまとまって出る
9|放置していい線・相談した方がいい線
すぐに大きな心配はいらないケース(経過観察)
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表面のごく浅いひびで、水をかけても しみ込む感じがない
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地震後しばらく雨を見ても、室内に湿気っぽさやシミが出ない
早めに工務店へ相談したいケース
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サイディング板そのものが 割れている・欠けている
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釘穴まわりに大きなひびが入り、触るとグラグラする
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継ぎ目(シーリング)が 切れて隙間が空いている
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雨のあと、室内の壁内でカビ臭・アレルギー症状が出る
外壁の割れや隙間は、
そのままにしても すぐ倒壊するわけではありません が、
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雨水ルート
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外気と室内空気の混ざり方
を変えてしまうので、
長い目で見ると 室内空気・健康住宅としての「空気環境」 に直結します。
10|ビオハウジングとしての考え方
福岡・北九州で注文住宅をつくる工務店として、ビオハウジングでは、
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地震で家がどう“しなる”かを考えた 耐震設計
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その上に載せる 外壁材の性質(硬さ・追従性)
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継ぎ目の少ない仕上げや、外断熱+塗り壁など、
板の“分割”を減らし、ひびの出方を穏やかにする設計
をセットで考えています。
サイディング外壁が絶対にダメ、という話ではありません。
ただし、
「硬い板」+「ゴムの継ぎ目」+「釘で止める」
という仕組みを知った上で、
どこまでを許容して採用するか?
どう点検・メンテナンスしていくか?
を考えることが、これからの長寿命・健康住宅づくりには大事だと思っています。
地震後の外壁チェックや、これから家を建てるときの外壁選びについて、
不安があればいつでもご相談ください。
