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北側のサイディングだけ、じわっと緑に…──苔が育つ理由と、おだやかなつきあい方

こんにちは、福岡のビオハウジング
健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。

 

福岡・北九州で外壁の相談を受けていると、よくこんな声を聞きます。

「北側のサイディングだけ、下の方がうっすら緑で…」
「これって、塗装が失敗だったんでしょうか?」

近くで見ると、指でなぞると少しヌルっとする、あの独特の感触。ほとんどの場合、それは**カビではなく、苔(コケ)や藻(も)**です。

結論から言うと、

  • 家の性能が致命的に悪いから
  • 職人が手を抜いたから

という話ではなく、

「サイディングという板の性質」と「北側」という方角の環境、それに「福岡・北九州の湿度の高さ」が重なった結果

であることがほとんどです。

今日は、あえて塗り壁などとは比べず、「サイディングだけ」にしぼって、北側に苔が出やすい理由を整理してみます。

北九州の住宅で、北側サイディング外壁の下部にうっすらと苔が生えているクローズアップ写真

北側のサイディングは、日当たりの少なさと湿度の高さが重なり、下の方からじわっと苔が出やすくなります。これは材料の失敗ではなく、板の性質と環境条件が表面に現れたサインです。


まずは前提:苔が育つための3つの条件

苔や藻が育つためには、だいたいこの3つが必要です。

① 水分がある

雨、夜露、結露、霧などで**「ぬれている時間」が長い**

② エサ(栄養)がある

土・ホコリ・排気ガス・花粉・肥料など、外まわりの汚れ

③ 暖かすぎず、寒すぎない温度

0〜40℃くらい(日本の外壁は年中ほぼこの範囲)

この3つがそろえば、どんな外壁でも苔は育ちます。なので、「うちだけ何かおかしい」と責める必要はなくて、

「ここは、苔にとって条件がそろいやすい場所なんだな」

くらいに受け止めてもらえたら、少し気持ちもラクになります。

 


北側サイディングが、苔の”お気に入り”になる環境要因

1. 日当たりが少ない → 濡れると乾きにくい

北側のサイディングは、一年を通して直射日光がほとんど当たりません。

  • 日が当たらない → 表面温度があまり上がらない
  • あまり温まらない → 一度濡れると、乾きにくい

同じ雨が当たっても、

南・東・西面:
→ 日が差しているあいだに、ある程度カラッと乾く

北面:
→ ずっと日陰で、一日中じっとり

という差が出ます。

苔から見れば、**「北側の板は、焼けるような日差しもなくて、しっとり落ち着く場所」**そんなふうに感じる環境です。

2. 福岡・北九州は”空気じたい”が湿っている

福岡・北九州は、全国的に見ても湿度が高めの地域です。

  • 雨の日が多い
  • 冬も、カラカラより”しっとり”した日が多い
  • 海や山に囲まれていて、湿った空気が入りやすい

この湿った空気が、夜になって冷えたサイディングに触れると、表面に**細かい水滴(結露)**がびっしりとつきます。

  • 雨が降っていないのに、明け方の北側がしっとりしている
  • よく見ると、細かい水滴がキラッと光っている

そんな状態が積み重なるほど、苔にとっては**「毎日ちゃんと水やりしてもらっている」**という環境になっていきます。

3. 地面からの”はね水”と汚れがエサになる

苔や藻は、サイディング自体を食べているわけではありません。多くは、表面に付着した薄い汚れの膜をエサにしています。

北側でよく見られるパターンは、

  1. 雨が地面に当たる
  2. 泥水や土、肥料がはね上がってサイディングの下の方につく
  3. そこに空気中の苔や藻の胞子・花粉・ホコリがくっつく

という流れです。

その結果、

  • 地面から0.5〜1.5mくらいの高さで → うっすら緑のグラデーション
  • 水切り金物のあたりで → 線のように苔汚れ

という、「北側サイディングあるある」の景色ができあがります。

 


サイディングの性質①:熱しやすく冷めやすい板

ここからが、サイディングならではの話です。

サイディングは、だいたい以下のような特徴を持った「板」です。

  • 厚みがそれほど厚くない
  • コンクリートや土壁に比べると、熱をため込む量(熱容量)が小さい

その結果、

  • 日が当たる → すぐ温まる
  • 日が陰る・夜になる → すぐ冷える

という、**「熱しやすく冷めやすい」**性格になります。

夜の北側サイディングは、結露しやすい

夜になると、空気もサイディングも冷えていきますが、

  • 湿った外気
  • 熱しやすく冷めやすいサイディング板

という組み合わせは、**「板の表面温度だけが、スッと先に冷える」**状態をつくりやすくなります。

空気中の水蒸気は、冷たい面に触れると水滴になります。つまり、冷えたサイディングの表面は結露しやすい面になるわけです。

とくに北側は日中もあまり温まっていないので、

「昼もそんなに温まらず、夜も冷えてしまう」
→ 一日を通して”結露しやすい板”になりがち

という、苔にとってはありがたい状態になってしまいます。


サイディングの性質②:年数とともに塗膜が”水を吸いやすく”なる

新築のときのサイディング外壁は、

  • 防水性・防汚性・防藻性のある塗膜でコーティングされている
  • 水が当たっても、コロコロと弾いて流れやすい

この段階では、同じ北側でも苔はそれほど目立ちません。

時間がたつと、塗膜が「スポンジ」に近づいていく

10年前後たってくると、

  • 紫外線で表面がチョーキング(白っぽい粉)してきたり
  • 細かいキズやひびが増えてきたり
  • 元々の防カビ・防藻成分の効果も弱くなってきたり

して、塗膜の性質が少しずつ変わっていきます。

その結果として、

  • 水を弾いていた → じわっと吸い込みやすくなる
  • 汚れを流していた → 汚れを抱え込むようになる

つまり、塗膜がちょっとしたスポンジのような振る舞いをし始めます。

こうなると、

同じだけ雨や夜露が当たっても、「濡れている時間」が、新築の頃より長くなる

= 苔や藻にとっては、ますます居心地のいい環境になっていくのです。


苔が生えると「根」が張り、さらに悪循環に

一度苔が生え始めると、そこから小さな悪循環がスタートします。

苔の”根”が塗膜のキズに入り込む

苔や藻は、

  • 表面にペタッと張り付くだけでなく
  • 細い「根(仮根・菌糸のようなもの)」で
  • 塗膜の細かな凹凸やキズに入り込んでいきます

そうすると、

  • 軽くこする程度では落ちにくい
  • 洗うときに、塗膜も一緒に傷めやすい

といった、やっかいな状態になりやすいのです。

「水と汚れをため込むマット」が外壁の上に乗る

苔の層が厚くなってくると、それ自体が

  • 雨のたびに水をたっぷり吸う
  • 乾くときも、塗膜にじわ〜っと水を渡し続ける
  • 空気中のホコリや土をキャッチして、さらに栄養たっぷりに

という、**湿ったマット(敷物)**のように振る舞い始めます。

これが続くと、

  1. 外壁がいつも少し湿っている
  2. 塗膜の劣化が加速する
  3. さらに苔が増えやすくなる

という、サイディングにとってあまりうれしくないループに入っていきます。


放っておくとどうなる?すぐ危険ではないけれど…

多くの場合、北側の苔は

  • いきなり構造がダメになる
  • すぐ雨漏りする

という**”赤信号”ではありません**。

ただし、

  • 見た目が古びて見えやすい
  • 塗膜が早く傷み、次の塗装までの寿命が縮む
  • 洗っても「影」のように跡が残ることがある

といった影響は出てきます。

ですので、

近くで見ないとわからない程度
→ 様子見しつつ、早めの軽いお手入れ

離れて見てもわかる、写真にもはっきり写る
→ 一度きれいにリセット+今後のメンテ計画

くらいの感覚で見ていただくと安心です。


北側サイディングと上手につきあうための、おだやかなケア

① 早めに「やさしく」洗う

道具

  • やわらかいブラシ(デッキブラシ・洗車ブラシなど)
  • 中性洗剤(食器用などを薄めてOK)

やり方

  1. 苔の部分に薄めた洗剤をかける
  2. 上下方向にやさしくブラッシング(ゴシゴシこすりすぎない)
  3. ホースの水でしっかり洗い流す

※高圧洗浄機を近距離・高圧で当てるのは、塗膜や目地を傷めるリスクがあるので要注意です。

② 周りの環境を少し整える

  • 北側に植栽や物置が近すぎる場合は、→ 少し離す・整理して風の通り道をつくる
  • 基礎まわりに水たまりができているなら、→ 砕石を敷く、勾配をつけるなどして水がたまりにくいように

小さな工夫ですが、「常にジメジメ」を和らげる手助けになります。

③ 塗り替えのタイミングでは、塗料選びも北側重視で

  • 防藻・防カビ性能の高い塗料を選ぶ
  • 親水性(雨水で汚れを流しやすい性質)のある塗膜を選ぶ
  • 北側は特に、洗浄+下地調整を丁寧に

福岡・北九州のような湿度の高い地域では、

「塗る色と同じくらい、”北側にどう配慮するか”も大事」

になってきます。


福岡・北九州でサイディングの苔が気になり始めたら

北側のサイディングにうっすら苔が出てきたとき、それは「この家はダメだ」というサインではなく、

「ここが、少し湿りやすいクセを持っているよ」

という、環境からの小さなメッセージだと感じています。

  • どのあたりの高さで濃くなっているか
  • 近くに何があるか(植栽・塀・隣家・水たまり)
  • 家の年数や、前回の塗装からの年数

こうした情報がわかると、

  • 今は軽い洗浄だけでよさそうか
  • そろそろ洗浄+塗り替えを考えた方がいいか

といった判断もしやすくなります。


福岡・北九州で注文住宅や外壁リフォームをお考えの方には、気候と外壁材のクセをセットで考える家づくりをおすすめしています。

「うちの北側、こんな状態なんだけど…」

と、スマホの写真を見せていただくだけでもかまいません。

サイディングの性質と、土地の湿り方のクセを一緒に読み解きながら、その家に合ったメンテナンスのタイミングや塗料選びをお手伝いします。

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