日本海側と太平洋側、同じ気温なのに「寒さ」が違う理由
──体感温度と家づくりの関係
こんにちは、福岡のビオハウジング
健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。
「日本海側の冬はどんより寒い」
「太平洋側は、数字ほど寒く感じない日もある」
同じ日本の冬なのに、こんなふうに”寒さの質”が違うのはなぜでしょうか。
今日は**日本海側と太平洋側の「体感温度の違い」**を、家づくりの視点も交えながら整理してみます。

なぜ「同じ5℃」でも、感じ方がこんなに違うのか?
まず、人が感じる寒さ=体感温度は、単なる気温だけでは決まりません。
- 気温
- 風(風速)
- 日射(太陽からのあたたかさ・輻射)
- 湿度・濡れ具合(服や靴が濡れているか)
- 地面や建物の表面温度(放射温度)
これらの**「セット全体」**が変わることで、同じ3〜5℃でも「刺さる寒さ」にも「カラッとした寒さ」にもなるんです。
日本海側の冬:どんより重く「刺さる寒さ」
1. 北西の季節風+雪雲で「風冷え」が強い
シベリアからの冷たい空気が日本海上を通り、水蒸気をたっぷり含んで雪を降らせます。
この時、北西の季節風が吹きやすく、
- 顔や手に当たる風が痛い
- コートの隙間から冷気が入り込む
風速1m/s上がるだけで、体感は1〜2℃低く感じると言われるほど。
→ 「数字以上に寒く感じる」大きな要因です。
2. 曇天・雪空で「太陽からのあたたかさ」が少ない
冬の日本海側は、とにかくどんよりした空が多い。
太陽の光(赤外線)は、実はかなり人の体を温めてくれていますが、
- 雪雲にさえぎられる
- 一日中、日向がない
そのため、気温以上に”空気そのものが冷たい”印象になります。
3. 湿った空気+雪・水たまり=「底冷え」
雪やみぞれで、道路や地面がいつも湿りがち。
- 靴・ズボンの裾・コートの裾が濡れやすい
- 濡れた部分からは、どんどん体温が奪われる
だから、
- 足元からじわじわ冷える
- 「骨まで冷える」「底冷えする」感じにつながります
4. 地面と建物からの”冷たい放射”
雪に覆われた地面・冷え切ったコンクリートの壁は、体にとっては**「巨大な冷却パネル」**のような存在。
そこからの”冷たい輻射(放射)”が、足元や腰回りを冷やします。
「外に出ただけで体がこわばる」感じは、この放射環境の厳しさも大きいのです。
太平洋側の冬:カラッとした「条件次第の寒さ」
1. 冬晴れが多く、日向は意外とあたたかい
太平洋側は、いわゆる**「冬晴れ」**が多い地域。
気温が3〜5℃でも
- 日向で
- 風が弱い日
だと、「コートを開けたくなる」くらい暖かく感じることもあります。
これは、太陽からの赤外線で
- 服の表面
- 顔や手
がじんわり温められるからです。
2. 乾燥した「サラッとした寒さ」
冬の太平洋側は湿度が低く、洗濯物もよく乾く空気。
日本海側のように
- 雪で靴が濡れる
- 服の表面がしっとり
という場面が少なく、「じっとり冷える寒さ」になりにくいのが特徴です。
その代わり、
- 乾燥による喉の痛み
- 肌荒れ
といった、別の負担は出やすくなります。
3. 日向と日陰、無風と風ありの差が極端
日向+無風
→ 「冬とは思えないくらい、ぽかぽか」
日陰+北風
→ 「一気に数字以上の寒さ」に
太平洋側の寒さは、**「場所と瞬間しだいで大きく変わる寒さ」**と言えます。
体感温度の違いをイメージで比べてみる
ケース①:日本海側の冬の一日
設定
- 気温:2〜3℃
- 天気:一日中、雪またはみぞれ
- 風:北西からの強めの季節風
体感
- 顔に当たる雪まじりの風が痛い
- 靴・ズボンの裾が濡れて、足元がずっと冷たい
- 地面も空も「冷たい板」に囲まれているようで、数字以上に重たい寒さに感じる
ケース②:太平洋側の冬の一日
設定
- 気温:0〜4℃
- 天気:快晴
- 風:午前は弱い風、午後は少し北風
体感
午前・日向・無風:
→ コートを開けて日光浴したくなる暖かさ
午後・日陰・北風:
→ 手袋なしではつらいキリッとした寒さ
一日の中で**「あったかい」と「寒い」が行ったり来たり**。
夏も、実は”感じ方の差”がはっきり出る
※今回は冬が主役ですが、少しだけ夏の話も。
日本海側の夏
→ フェーン現象(山を越えた熱風)+高湿度で「モワッとまとわりつく暑さ」
太平洋側の夏
→ 太平洋高気圧+強い日差し+都市部ではヒートアイランドで「日差しが刺さるような暑さ」
“寒さ”も”暑さ”も、やはり気温だけでは語れないことがわかります。
家づくりで変わる「体感温度」
日本海側で意識したい家づくり
風・湿り・足元冷えへの対策
- 玄関・窓まわりの風の通り方を設計する(風よけ・風の抜け方)
- 床・窓の断熱をしっかりとり、放射温度を上げる
- 玄関や土間まわりは、雪・水がたまりにくい動線に
室内の空気環境
- 暖房の熱が逃げない断熱・気密性能
- 乾きすぎず、湿りすぎない換気・調湿のバランス
暮らし方
- 靴・靴下・レギンスなど、足首〜足裏を守る装い
- 玄関に「濡れたものをすぐ乾かせるスペース」をつくる
太平洋側で意識したい家づくり
日射と乾燥への対策
- 冬は南側の窓からの日射をしっかり取り込む設計
- 夏は逆に、軒や庇で日射をカットする工夫もセットで
室内の乾燥対策
- 加湿器任せではなく、「どこで洗濯物を干すか」「室内の水面(観葉植物・水槽など)」も含めて考える
暮らし方
- “重ね着+脱ぎやすい服装”で、日向と日陰・屋内外の変化に対応
- マフラー・ニット帽・手袋などの**「局所を守る」小物**を上手に使う
北九州の冬は?日本海側と太平洋側の”あいだ”のような地域性
北九州は日本海に面しつつ、太平洋側ほどではないにせよ、晴れる日もそれなりにある地域です。
- 外の空気は、しっとりしやすい&風もそれなりにある
- でも、日が出ると急にあたたかく感じる日も多い
つまり、「日本海側の底冷え」と「太平洋側の冬晴れ」がミックスされたような地域と言えます。
だからこそ、北九州で家づくりをする場合は、
日本海側寄りの
→ 足元の放射・断熱・風よけ対策
太平洋側寄りの
→ 日射取得と乾燥への配慮
両方をバランスよく考えてあげると、数字よりも**”身体が楽な家”**に近づいていきます。
さいごに:「今日は何℃?」より、「今日はどんなセット?」で見る
日本海側と太平洋側の体感温度の違いをざっくりまとめると…
日本海側の冬
→ 雲・雪・風・湿りに包まれ、じわじわ熱が奪われる寒さ
太平洋側の冬
→ 太陽と乾いた空気の中で、条件次第で大きく変わる寒さ
これから天気予報を見るとき、「今日は何℃?」に加えて、
- 風は?
- 日差しは?
- 濡れそう?
- 地面・建物は冷え切っている?
こんな**”セット”**で見てみると、自分に合う服装・暖房・家づくりのヒントが、少しずつ見えてきます。
北九州で、**「数字ではなく身体が喜ぶ家」**をつくりたい方は、ぜひ一緒に、あなたの暮らし方に合った温熱環境を設計していきましょう。
FAQ(よくある質問)
Q1. 日本海側は湿度が高いのに、なぜ余計に寒く感じるのですか?
湿度が高いと、雪やみぞれで服や靴が濡れやすくなります。濡れた部分からは体温がどんどん奪われるため、「底冷え」するような重たい寒さになりやすいのです。
Q2. 太平洋側の冬は、乾燥しているほうが暖かく感じるのですか?
乾燥していると服が濡れにくく、日本海側のような”じっとり冷え”は少なくなります。ただし、風が強い日や日陰では一気に体感が下がるので、条件によって大きく変わります。
Q3. 北九州は、日本海側と太平洋側どちらの性質が強いですか?
日本海に面しつつ冬晴れの日もあるため、両方の性質をほどよく持った地域と考えられます。しっとりした外気+日射のある日も多く、家づくりでは両方の特徴を踏まえた温熱設計が大切です。
Q4. 家づくりで体感温度を良くするには、何から考えればいいですか?
- 断熱・気密(熱を逃がさない)
- 日射の取り入れ方・遮り方(窓と軒の設計)
- 風の通り方・風よけ
- 足元の放射温度(床・窓・壁の温度)
この4つを、住む地域と暮らし方に合わせて整えることがポイントです。