香害の「中身」を知る——「いい香り」の正体は何か——人工香料という見えない化学物質
こんにちは!福岡のビオハウジングで住宅設計をしている、健康オタクの竹森哲也です。
電車や職場、学校、そして自分の家の中まで。
「どこに行っても、きつい匂いから逃げられない」
と感じたことはないでしょうか。
その”いい香り”の多くは、天然の花や森の匂いではなく、**人工香料(合成香料)**です。
まずは、この「人工香料」とは何者なのかから整理してみます。

1. 人工香料(合成香料)って何?
人の手でつくった「香りの部品」
人工香料=合成香料
→ 化学反応を利用して、人が人工的につくった香り成分のことです。
原料は大きく2パターン:
🌿 植物など自然素材から成分だけを取り出して加工したもの
🛢️ 石油などを原料に、高温・高圧などの化学反応でつくったもの
人工香料は、世界中で3,000種類以上とも言われ、「バラの香り」「森の香り」「石けんの香り」など、自然界には存在しない香りも含めて、無数のバリエーションがつくられています。
どこに使われているの?
ドラッグストアに並んでいる、次のような商品の**”香り”の多くは、実は人工香料**です:
🧺 洗濯洗剤・柔軟剤
🧴 シャンプー・コンディショナー・ボディソープ
🧼 ハンドソープ・入浴剤
💨 消臭スプレー・芳香剤・ルームフレグランス
💐 香水・ヘアスプレー・制汗剤 など
私たちは「香りの商品を買っている」つもりでいても、実際には、“香りのための化学物質のセット”を家の中に持ち込んでいるとも言えます。
2. なぜ「見えない化学物質」なのか
ラベルには「香料」としか書かれない
化粧品や洗剤などには「全成分表示」のルールがありますが、香料については、たくさんの成分をまとめて「香料」とだけ表示できる仕組みになっています。
⚠️ 1つの「香料」の中に、数十〜数百種類の化学物質がブレンドされていることもある
⚠️ でもラベルには、その内訳は書かれない
⚠️ さらに「防腐のため」「脱色防止のため」に使われた一部の成分(キャリーオーバー)は、そもそも表示義務がないこともある
つまり、私たちが読めるのは「香料」という一言だけ。
何種類の成分が、どれくらい入っているのかは分からないのが現状です。
マイクロカプセルで”香りを長持ちさせる”
最近の柔軟剤や衣類用消臭剤では、香りや消臭成分をプラスチック製などのマイクロカプセルに閉じ込めて使うものが増えています。
仕組み:
1️⃣ 衣類がこすれるたびにカプセルが弾けて、香りが長時間放出される
2️⃣ カプセルの材料として:
- シクロデキストリン
- イソシアネート系の樹脂
などプラスチック由来の成分が使われます
3️⃣ 最近はさらに粒子が細かくなり、ナノサイズの微粒子も指摘されています
この微粒子が空気中に漂い、鼻や気道から体の中に入り込む可能性があることが、各地の講演や自治体の資料で問題視されています。
3. 人工香料が身体に与える負担
「好き嫌い」ではなく「身体の反応」の問題
人工香料そのものは、法的には「安全性を確認したうえで使われている」という建前ですが、現実には、次のような症状を訴える人が増えています:
🤕 頭痛・めまい・吐き気
😮💨 目や喉の痛み・咳・息苦しさ
😓 全身のだるさ・眠気・不眠
😤 集中できない・イライラする
🤧 喘息やアレルギー症状の悪化
こうした症状が続くうちに、ごく微量の化学物質にも反応してしまう「化学物質過敏症」に進行するケースも報告されています。
ここで大事なのは:
❌ 「いい匂いだから大丈夫」
❌ 「市販品だから安全」
とは限らない、ということ。
香りの好みとは別に、身体の許容量がそれぞれ違う、という前提で捉え直す必要があります。
鼻から脳へ、ダイレクトに届く
香りの分子は、鼻の粘膜から嗅神経を通って、感情や自律神経をつかさどる大脳辺縁系にダイレクトに届きます。
そのため:
🌿 天然の精油
🧪 人工香料
どちらにせよ、脳と自律神経に「直接アクセスしてくる刺激」であることには変わりません。
ある調査では、特定の香水から複数の環境ホルモンが検出されたとの報告もあり、ホルモンバランスへの影響を懸念する声もあります。
4. 天然の香りと何が違うの?
人工香料のメリット(メーカー側から見た)
人工香料には、メーカーにとっての大きなメリットがあります:
✅ 大量生産しやすく、コストが安い
✅ 香りの質・強さをいつも同じにできる
✅ 天然にはないユニークな香りも自由につくれる
✅ 熱や光に強い香りを設計しやすい
だからこそ、**「長時間いい香りが続く」「洗濯しても1週間香る」**といったキャッチコピーの商品が、たくさん生まれてきました。
その”安定性”が、身体には負担になることも
一方で、天然の香りは:
🌿 産地・気候・収穫時期で香りが変わる
🌿 強さも、時間とともに自然に抜けていく
というゆらぎがあります。
人工香料は:
⚠️ 香りの強さが一定
⚠️ なかなか消えない
⚠️ いろんな製品に同じ香料が重ねがけされる
という性質から、「いつも、どこでも、同じ刺激を浴び続ける」状態をつくりやすい。
この「逃げ場のなさ」が:
頭痛や自律神経の乱れ、子どもの集中力低下など、“香害”と言われる問題の土台になっていきます。
5. 「香りのストレス」を減らすために今日からできること
ここまでが「人工香料とは何か」という、いわば定義編です。
最後に、暮らしの中で今日からできる、小さな一歩を整理しておきます。
① まずは「香りの元」を減らしてみる
✅ 柔軟剤をいったんゼロにしてみる
✅ 洗剤も:
- 無香料タイプ
- 成分ができるだけシンプルなもの
に変えてみる
✅ 「香りでごまかす」のではなく:
- 汚れをきちんと落とす
- しっかり乾かす
という基本動作を見直す
② 香りアイテムを”全部書き出す”
家の中で使っている「香りのもの」を紙に書き出してみます:
📝 洗濯洗剤・柔軟剤・衣類用スプレー
📝 シャンプー・ボディソープ・ハンドソープ
📝 トイレや玄関の芳香剤
📝 車の芳香剤
📝 香水・ヘアスプレー・制汗剤 など
「毎日使っているもの」から、ひとつずつ無香料に変えていくだけでも、数週間~数ヶ月で「頭痛が減った」「家の空気が軽くなった」と感じる方が多いです。
③ 高気密・高断熱の家ほど「何を持ち込むか」を意識する
ビオハウジングのように、気密性・断熱性を高めた家ほど、中に入れた空気は長くとどまります。
✅ これは冬の暖かさ・夏の涼しさには大きなメリット
⚠️ その一方で、人工香料やマイクロカプセルをたくさん持ち込むと、抜けにくいという側面も
だからこそ、これからの家づくりでは:
❌ 「いい香りの家」よりも
✅ 「身体がほっとする”ほぼ無臭”の家」
を目指すことが、本当の意味での”健康住宅”につながっていくと感じています。
まとめ
🧪 人工香料は、化学反応でつくられた3,000種類以上の「香りの部品」
🧪 ラベルには「香料」としか書かれず、何が入っているかは分からない
🧪 マイクロカプセルで香りを長持ちさせる仕組みが、微粒子として体内に入り込む懸念も
🧪 頭痛・だるさ・イライラなど、身体の反応として現れることがある
🧪 「逃げ場のなさ」が香害の土台になっている
🧪 今日からできること:香りの元を減らす、香りアイテムを書き出す、高気密住宅では特に意識する
家づくりは、「いい香りの家」ではなく、「身体がほっとする”ほぼ無臭”の家」を目指す時代に入っているのかもしれません。
ビオハウジングでは、そんな視点を大切にしながら、福岡・北九州で健康住宅をご提案しています。