第4回:内部結露とリフォームの注意点——見えないところで家を傷めないために
こんにちは!福岡のビオハウジングで住宅設計をしている、健康オタクの竹森哲也です。
結露シリーズの第4回は、「内部結露」とリフォームのお話です。
窓ガラスがびしょびしょになる結露は、目で見えるのでまだ分かりやすいのですが、厄介なのは**「壁の中・天井の中で起きる結露=内部結露」**です。
👁️ 表面にはあまり症状が出ない
💧 でも、中の木や断熱材はじわじわ濡れている
そんな状態が何年も続くと、構造の寿命を大きく縮めてしまうことがあります。
今回は:
- 内部結露ってそもそも何か
- どんなリフォームで起こりやすいのか
- どういう考え方で計画すると安全なのか
を、できるだけ専門用語を抑えながら整理してみます。

「どこが一番冷えているか」を見てあげるだけで、内部結露リスクはぐっと見えやすくなります。
1. 内部結露って何?表面結露との違い
まずは言葉の整理からいきます。
【表面結露】
✅ 窓ガラスやサッシ、壁・床の表面に水滴がつく
✅ 見てすぐ分かる
✅ 拭き取ることもできる
【内部結露】
⚠️ 壁の中、天井の中、床の中など見えないところで起こる
⚠️ 断熱材や木の表面で、空気中の水蒸気が冷やされて水になる
⚠️ 住んでいる人は気づきにくい
ポイントは:
「暖かく湿った空気」が「冷たい場所」に入り込んで、その内側で露点を超えると内部結露になる
ということです。
外から雨が入ってくる「雨漏り」と違い、家の中の湿気が原因で起きるのが内部結露です。
2. どんなときに内部結露が起こりやすい?
内部結露が起こりやすい条件を、住まい方と構造の両方から見てみます。
2-1. 室内側の湿度が高い状態が続く
💧 室内干しが多い
💧 加湿器を長時間・強めに使っている
💧 お風呂やキッチンの換気が弱い
こういう暮らし方自体は悪いわけではありませんが、家の側の**”受け皿”が弱いと、内部結露の燃料**になってしまいます。
2-2. 壁や屋根の中に「冷たいゾーン」が残っている
❄️ 断熱材が部分的に薄い・入っていない
❄️ 柱・梁・鉄骨・コンクリートが外気に触れている
❄️ 北側の外壁や屋根裏が極端に冷えやすい
この**「冷たいゾーン」に、室内から湿った空気が入り込む**と、内部結露が起こりやすくなります。
2-3. 気密・防湿の考え方が中途半端
⚠️ 室内側の防湿シート(ビニール)が途中で途切れている
⚠️ コンセント・配線・点検口まわりにすき間が多い
⚠️ リフォームで壁を一部だけ開けて断熱を足し、元の防湿層とのつながりが切れてしまった
こういう場合、**「そこだけ湿った空気の通り道」**になり、その先で内部結露が起こることがあります。
3. リフォームで特に危ないパターン
ここからは、現場でよく見る**「要注意パターン」**を挙げていきます。
3-1. 内側からだけ厚く断熱するリフォーム
❌ 既存の壁の室内側に、さらに断熱材やボードを足す「内側断熱リフォーム」
❌ 既存の外壁はそのまま、内側だけモコモコ厚くするパターン
このときに怖いのが:
「新しい断熱材」と「もともとの壁」との間が、中途半端に”冷たいゾーン”になってしまうこと
です。
室内からの湿った空気がそこに入り込むと、元の構造材や合板が冷蔵庫の中みたいな温度になり、内部結露を起こします。
3-2. 防湿シートを「部分的に」貼る
❌ 一部の部屋だけ壁をはがして断熱+防湿シート
❌ 隣の部屋はそのまま既存
この場合、防湿シートが貼ってある部分とない部分の境目が、湿った空気の抜け道になり、そこで内部結露が起こることがあります。
3-3. 断熱強化で”外側だけ”冷たくなってしまう屋根・小屋裏
❌ 屋根断熱を後から足す
❌ でも、小屋裏の換気や湿気抜きが不十分
すると:
💧 室内から上がった湿気が小屋裏でこもる
❄️ しかも屋根の外側は冷えやすい
この組み合わせで、**屋根裏の構造木材がいつもジメジメ…**という状態が起こりえます。
3-4. とりあえずサイディングの上から”重ね張り”
外側から断熱材入りのサイディングを重ね張りする工事も、やり方を間違えると注意が必要です。
⚠️ 既存の壁の中に湿気が残りやすい
⚠️ 外側だけさらに断熱されることで、既存壁の温度が下がり、内部結露のリスクが上がる
設計段階で、湿気の逃げ道・防湿層の位置まで考えておく必要があります。
4. 内部結露を防ぐためのリフォームの考え方
では、どういう考え方で計画すれば安心に近づくのか。大事なポイントを4つに絞ります。
4-1. 「外が一番冷たい」「中が一番暖かい」を崩さない
壁や屋根の断面をイメージしたとき:
❄️ 一番外側:一番冷たい
🧱 断熱材ゾーン:なだらかに温度が変化
🏠 室内側:一番暖かい
という温度の順番をできるだけ崩さないことが基本です。
その途中に:
❌ 急に冷えるところ
❌ 湿気がたまりやすい”ポケット”
ができると、そこが内部結露の温床になります。
4-2. 防湿層は「連続させる」か「使わない」と決める
✅ 室内側に防湿シートを使うなら、できるだけ途切れなく一枚の膜に近づける
✅ どうしても連続させにくい設計なら、思い切って**「調湿系の断熱材+透湿を許容する構成」**にする
など、中途半端に”貼ったり貼らなかったり”を避けるのがポイントです。
4-3. できるだけ「外側から断熱してあげる」方が安全
リフォームの場合、理想を言えば:
✅ 外張り断熱(外側から包む)
✅ 断熱材付き外壁パネルなどで、なるべく連続した断熱ラインを作る
ほうが、内部結露のリスクは小さくなります。
もちろんコストや工期の問題もあるので、いつでもベストを選べるわけではありませんが:
「内側からだけモコモコ断熱を足す」のは、極力慎重に…
という意識を持っておくと安全です。
4-4. 気密と換気を「セット」で考える
✅ 気密を高める
→ 室内の暖かい湿った空気が、壁の中に勝手に入り込むのを防ぐ
✅ その代わり、計画換気で確実に湿気を外に出す
この2つはセットです。
❌ 「気密だけ高めて換気が弱い」
❌ 「換気だけ強くして、気密はスカスカ」
どちらも、内部結露の面から見るとあまり良くありません。
5. 工務店・設計者に聞いてほしい質問
リフォームを検討するとき、打ち合わせでこんな質問をしてみると、内部結露への意識が見えやすくなります。
質問①
「この断熱の入れ方だと、どこが一番冷たくなりますか?」
質問②
「防湿シート(もしくは透湿抵抗の高い層)は、どの面に、どうやって”連続”させますか?」
質問③
「内部結露のリスクはどう考えていますか?もし起きるとしたら、どこで起きそうか教えてください。」
質問④
「外壁・屋根の中の湿気は、どこから入って、どこから抜ける想定ですか?」
これに対して:
❌ 「大丈夫ですよ、大丈夫です」
❌ 「今まで問題なかったので大丈夫です」
だけで終わるのか、図や断面を描きながら具体的に説明してくれるのかで、かなり見え方が変わってきます。
6. 施主として今日からできること
最後に、**「今すぐできること」**を3つだけ。
① 住んでいる家の「冷えポイント」を探してみる
✋ 北側の壁、天井との取り合い、床と外壁の境目などを手で触って、冷え方のムラを感じてみる
② 結露・カビの位置をメモしておく
📝 毎冬同じ場所にだけ出るカビやシミは、内部結露のサインになっているかもしれません
③ リフォームの相談をするときは…
💬 「暖かさ+光熱費」だけでなく、**「内部結露のリスクも一緒に考えてほしい」**と最初に伝える
これだけでも、設計や仕様の**”考え方の深さ”**がだいぶ変わってきます。
7. まとめ:見えないところの結露こそ、いちばん慎重に
今回のお話を、改めて整理しておきます。
✅ 内部結露は、壁や屋根の中で起きる見えない結露
✅ 暖かく湿った空気が、冷たいゾーンで露点を超えると発生する
✅ 特に:
- 内側断熱リフォーム
- 部分的な防湿シート
- 小屋裏の換気不足
- 重ね張り外壁
などのときは注意が必要
✅ 安全なリフォームのポイントは:
- 温度の順番(外が一番冷たい/中が一番暖かい)を崩さない
- 防湿層を中途半端にしない
- できれば外側から連続した断熱ラインをつくる
- 気密と換気をセットで考える
ビオハウジングでは:
「長く住んでから、じわじわ効いてくるリスクこそ、最初に潰しておきたい」
という考え方で、内部結露も含めたリフォーム・新築のご提案をしています。
「暖かくしたい」と「長持ちさせたい」は、本来同じ方向を向いているはず。
見えないところの結露まで一緒に考えて、家そのものの**”いのち”も伸ばしてあげられたら**いいなと思います。