外は氷点下、室内でオジギソウが咲く家|九州でパッシブハウス級の冬の暮らし
こんにちは、福岡のビオハウジング
健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。
外は氷点下、室内ではオジギソウが咲いています

寒くなってきましたね。
九州でも、山のほうではもう氷点下まで冷え込む季節です。
そんな中、いまパッシブハウス申請中の現場に行くと、
リビングの片隅で オジギソウの花が、まだふんわり咲いている んです。
しかも、このオジギソウ。
多年草ではなく、本来は冬を越せない植物 です。
日本の気候だと、ふつうは寒さで枯れてしまいます。
外気温:夜は0℃前後、場所によっては氷点下
室温:エアコンをほんの少し使うだけで、20℃前後をキープ
植物:寒さに弱いオジギソウが、まだ元気に開花中
人間の「なんとなく暖かいですね」という感覚よりも、
植物の様子のほうが、家の“環境のやさしさ”を素直に教えてくれることがあります。
オジギソウが教えてくれる「温度のストレス」の話
オジギソウは、触れるとサッと葉を閉じる敏感な植物です。
温度変化や乾燥にもけっこう弱くて、環境がガタガタだとすぐ元気をなくします。
さっきも書いたように、
多年草ではなく、日本の冬を越すのはかなり難しい種類 です。
普通の家だと、秋の終わり〜冬にかけて、だんだん弱っていくのが自然な姿です。
それが、
朝も
夜も
雨の日も
ほとんど同じような空気の中で、のんびり花をつけている。
これはそのまま、
「そこに住む人の体が受けているストレスも、小さくなっている」
ということでもあります。
朝起きたとき、顔を洗う前にすでに室温が10℃を切っている
廊下と脱衣室だけ、急にひんやりしている
こういう「家の中の温度差」が少ないほど、
血圧の急変や、体のこわばりも起きにくくなります。
寒さに弱いオジギソウが冬の入口でも元気ということは、
目に見えないところで
「体にとってやさしい温度のリズム」が保たれている というサインなんですね。
パッシブハウスって、どんな家?
「パッシブハウス」というと、
ちょっと堅苦しい印象があるかもしれませんが、
イメージとしては “魔法瓶みたいな家” です。
● パッシブハウスのざっくりイメージ
外に熱を逃がさない(高断熱)
すき間風を極力なくす(高気密)
窓から入る太陽の光と熱を、上手に活かす(パッシブデザイン)
換気で逃げる熱を、できるだけ回収する(熱交換換気)
その結果、
ちいさなエアコンや、わずかな暖房でも
冬はじんわり暖かく
夏はほどよく涼しい
そんな「省エネ」と「快適さ」が両立した家になります。
今回ご紹介しているお宅は、
ドイツの認定機関への パッシブハウス申請中 の家。
図面や施工のチェック、性能計算などを経て、
現在、認定を待っているところです。
この家でしている、具体的な工夫たち
オジギソウが咲いているリビングのまわりでは、
こんな工夫をしています。
● 1)分厚い断熱材で、壁・屋根・床を包む
壁・屋根・床を、ぐるっと断熱材でくるむ
「どこから熱が逃げているか?」を徹底的に潰す設計
とくに窓まわりや、配管の貫通部は丁寧にチェック
→ 外が氷点下でも、室内の熱がじわじわ守られる 状態をつくります。
● 2)窓は“弱点”ではなく、“味方”にする
日射取得を考えた南側の窓
断熱性能の高いサッシ+ガラス
西日・北風を受けにくい開口計画
→ 冬は日差しが入ると、
「エアコンを切っても、しばらく暖かいね」と感じるくらい、
太陽が立派な暖房になります。
● 3)目に見えない“気密”と“換気”
すき間を極力減らすことで、「冷気の通り道」を塞ぐ
機械換気で、空気だけ入れ替えて、熱はできるだけ室内に残す
→ 寒いのに換気のために窓を全開…という必要がなくなり、
冷たい外気を直接入れなくて済みます。
「九州だからそこまでしなくても…?」に、どう答えるか
九州は、たしかに北海道ほどは冷えません。
それでも、山あいでは氷点下になりますし、
海風が強い地域も多く、体感温度は意外と低くなりがちです。
しかもいまは、
電気代の高騰
夏と冬の温度差の大きさ
共働き・在宅ワークの増加
などを考えると、
「ほどほどの家で我慢する」よりも
「ちゃんと性能を上げて、ランニングコストを抑える」
という発想のほうが、
長い目で見ると身も心もラクになります。
九州のような地域こそ、
夏の暑さも
冬の底冷えも
両方にしっかり備えた “オールラウンダーな家” が向いているのかもしれません。
パッシブハウスで過ごす冬の1日(イメージ)
たとえば、こんな日常です。
朝 6:30
外は1〜2℃
室温は18〜20℃くらいをキープ
「布団から出るのがつらい…」がかなり軽くなる
日中
南側の窓から差し込む日差しで、室温がふわっと上がる
エアコンは弱運転か、オフでも過ごせる時間帯がある
夜
夕方に少し暖房をいれるだけで、
夜のリビングもじんわり暖かい
オジギソウも、子どもたちも、ごきげんに一日を終える
「暖房をガンガンたいて、暑いくらいにする」のではなく、
『じんわり、変化が少ない』 というのがポイントです。
これからの家づくりと、パッシブハウスの考え方
パッシブハウスは、
認定そのものが目的ではなく、
「なるべくエネルギーに頼らず」
「でも、我慢ではなく」
「体にやさしい環境を一日中キープする」
そのための ひとつの“物差し” だと感じています。
寒さに弱いオジギソウが、
九州の冬の入口でもまだ咲いているのを見て、
あらためて思ったのは、
性能値や計算も大事だけれど、
そこで暮らす“いのち”がどう反応しているかがいちばんの答えだな
ということでした。
100字まとめ
外は氷点下でも、パッシブハウス申請中の家では、冬を越せないはずのオジギソウが元気に咲いています。高断熱・高気密・日射利用・熱交換換気によって、少ないエネルギーで温度差の少ない室内環境を保てる家。九州でも「我慢しない省エネ」と「体にやさしい冬の暮らし」を両立するひとつの答えが、パッシブハウスの考え方だと感じています。
ブログ本文用 FAQ案(人が読む形)
Q1. パッシブハウスって、普通の高断熱住宅と何が違うんですか?
-
「なんとなく暖かい家」ではなく、数値とシミュレーションで性能を証明する家です。
-
外皮性能・気密・日射取得・換気など、細かい条件を満たしてはじめて「パッシブハウス」と呼べます。
-
その結果、少ない暖房エネルギーで、家中の温度差が小さいのが大きな違いです。
Q2. 九州でも、パッシブハウスにする意味はありますか?
-
「九州は温かいから、そこまでしなくていい」と言われがちですが、冬の底冷えと夏の暑さの両方がきつい地域でもあります。
-
電気代の高騰もあり、一度性能を上げておくと、長期的には光熱費を抑えやすいです。
-
共働き・在宅ワーク世帯ほど、一年中家にいる時間が長いほど、価値を感じやすいと考えています。
Q3. 外が氷点下なのに、なぜオジギソウが咲いているんですか?
-
オジギソウは多年草ではなく、本来は日本の冬を越すことが難しい植物です。
-
パッシブハウス申請中のこの家では、
-
室温が一日を通して大きく下がらない
-
冷たいすき間風がほとんど入らない
ため、植物にとってもストレスの少ない環境になっています。
-
-
植物の様子は、そこで暮らす人の体が受けている温度ストレスの少なさを映す「鏡」のようなものだと感じています。
Q4. パッシブハウスだと、本当に暖房費は安くなりますか?
-
条件にもよりますが、一般的な家と比べて暖房エネルギーは大きく下げられます。
-
ずっとエアコンを強くまわすのではなく、
-
低出力でじんわり運転する
-
太陽の熱をうまく取り込む
ことで、「我慢しない省エネ」がしやすいのが特徴です。
-
-
その分、初期の建築コストとのバランスを一緒に検討することが大切です。
Q5. 結露やカビ対策にも、パッシブハウスは役に立ちますか?
-
高断熱・高気密+計画換気により、室内の表面温度が下がりにくく、湿気もこもりにくい設計になります。
-
その結果、
-
窓まわりの結露
-
押入れや北側のカビ
といったトラブルのリスクは減らしやすくなります。
-
-
ただし、暮らし方(室内干しの量・換気の仕方)も影響するので、住み方の工夫とセットで考えるのが大事です。
Q6. リフォームでもパッシブハウスのような家にできますか?
-
既存の建物でも、
-
外張り断熱や内断熱の追加
-
窓の交換・内窓の設置
-
すき間の改善と換気計画の見直し
などを組み合わせることで、かなり近い性能に近づけることは可能です。
-
-
ただし、新築ほど自由度は高くないため、
「コスト」と「効果」のバランスを一緒に整理することをおすすめします。
Q7. パッシブハウスにしたいとき、何から相談すればいいですか?
-
いきなり「パッシブハウス認定を取りたい」と決めなくても大丈夫です。
-
まずは、
-
どんな暮らし方をしたいか
-
冬や夏に困っていることは何か
-
光熱費や健康面で、何を大事にしたいか
を共有していただけると、必要な性能レベルや優先順位が見えてきます。
-
-
その上で、パッシブハウスレベルまで上げるか、そこに近い性能を目指すかを一緒に検討していく流れが現実的です。
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