“空気の温度”ではなく、“肌が感じる温度”の話【福岡・北九州】
🌞 PMV×放射 ― 壁や窓の“温度”が、人の感覚を変える
――“空気の温度”ではなく、“肌が感じる温度”の話【福岡・北九州】
🏡 こんにちは
こんにちは、福岡のビオハウジング。
健康オタクの住宅設計士、竹森哲也です。
「部屋の温度は22℃なのに、なんだか足元が寒い」
「エアコンをつけても、壁の近くが冷たい気がする」
そんな経験はありませんか?
それは、**空気の温度(室温)**ではなく、
**放射温度(壁や窓の“面の温度”)**が低いからです。
🌡️ PMVでいう“放射温度”とは?
PMV(予測平均温冷感)は、人が感じる“暑い・寒い”を数値化した指標。
その中でも**放射温度(MRT:Mean Radiant Temperature)**は、
最も体感温度に影響を与える要素のひとつです。
放射温度とは、周囲の壁・床・天井・窓などが持つ表面温度の平均値のこと。
人の体は、これらの面と熱を“放射”でやり取りしています。
たとえば:
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冬、冷えた窓の近くに立つと寒く感じる → 放射冷却で体の熱が奪われる
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夏、日射を受けた壁の前に立つと暑く感じる → 放射熱で体に熱が伝わる
つまり「体感温度=空気の温度+放射温度」なのです。
放射温度が体温と同じになるとPPD(温熱環境に対し、何%の人がその環境に不満を示すかを表します。)は5%になり最高値です。

しかし平均放射温度が27度になるとPPDは56.3%になり半分以上が不満になります。

🧍♀️ なぜ放射は“体の芯”に響くのか?
放射による熱のやり取りは、空気を介さずに直接伝わります。
そのため、風がなくても冷たさ・温かさを感じるのです。
体の皮膚や血流は、空気よりも放射の影響を強く受けます。
たとえば、窓際に立つと足元から冷気が上がってくるように感じますが、
実際には空気ではなく、**ガラス面との“放射冷却”**によって体が冷えているのです。
放射の影響が大きいと、PMVはマイナス方向(寒い側)にずれ、
空気をいくら暖めても“体は冷えている”状態になります。
🏠 ビオハウジングの考える「放射の快適」
私たちは、家を「断熱する」だけでなく、
放射のバランスを整える空間として設計しています。
🌿 1. 内壁・床の素材が「熱をやさしく伝える」
木や土は、熱の伝わり方が穏やか。
放射温度を安定させ、壁際でも冷えを感じにくくします。
🪟 2. 窓際の“冷放射”を抑える
高断熱サッシ+トリプルガラス、そして内窓。
ガラス面の温度を上げることで、放射冷却を防ぎます。
体が“壁や窓から逃げない”――それが快適の基本です。
🌀 3. 空気を動かしすぎない
暖房の風を強く流すと、一時的には暖かくても、
表面温度のバランスが崩れ、肌が乾きやすくなります。
「穏やかに、全体で温める」ことが放射快適のポイント。
💫 放射を“整える”ことは、体を“整える”こと
壁や窓の温度が安定すると、体はリラックスします。
血流が穏やかになり、肩の力が抜け、呼吸も深くなる。
これは単なる“性能”ではなく、身体の安心感の設計です。
PMVの理想値(−0.5〜+0.5)に近づけるほど、
人は自然に「心地よい」と感じるようになります。
☀️ まとめ|“空気”ではなく、“面”を整える家づくり
快適な空間とは、空気の温度を上げることではなく、
人が囲まれている“面”の温度を整えること。
ビオハウジングの家は、
断熱・放射・素材の力を組み合わせ、
“体が冷えない”空気と環境をつくります。
「暖かい空気」ではなく、「やさしい熱」。
それが、放射をデザインする家の本質です。