断熱性能が良い家は快適か?そのデメリット その2 室内の湿気が抜けにくい

❷ 室内の湿気が抜けにくい
— 高断熱・高気密住宅の“もうひとつの落とし穴”
背景:なぜ湿気が抜けにくくなるのか?
高断熱・高気密住宅では、外と中の空気の“やりとり”が少ないため、室内で発生した湿気が外へ逃げにくくなります。
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気密性が高い → 湿気が「漏れない」
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換気計画が不十分 → 湿気が「排出されない」
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調湿素材がない → 湿度が「吸収されない」
この三重苦により、室内の湿度が高止まりするリスクがあるのです。
実際に起こる現象
現象 | 内容 |
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① 結露の発生 | 窓・壁・床下などに水滴が付き、濡れる |
② カビやダニの増殖 | 湿度が60%を超えると、繁殖リスク急上昇 |
③ アレルギー症状 | カビやダニが原因で咳・くしゃみ・湿疹など |
④ 家具・床の劣化 | 湿気がたまる場所で木材やクロスが腐る・剥がれる |
⑤ ジメジメ・ムワッと感 | 不快な体感。エアコンでは解決できない場合も |
⑥ 洗濯物が乾かない | 特に冬や梅雨時は、室内干しのストレス大 |
湿気が発生する主な場所・タイミング
発生源 | 内容 |
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人の呼吸・汗 | 1人1日で0.5~1Lの水蒸気を放出 |
調理・湯気 | キッチン・お風呂で大量の湿気 |
観葉植物 | 蒸散作用によって室内湿度が上がる |
洗濯物の室内干し | 1回で2L以上の湿気が出ることも |
床下・外壁裏 | 換気不良で湿気がこもるとカビ・腐朽菌の温床に |
自然とともに呼吸する──ビオハウジングの調湿設計
高断熱・高気密の家では、空気の温度だけでなく、「湿気の流れ」や「空気の質」が住み心地を左右します。
だからこそビオハウジングでは、ただ“閉じる”のではなく、“呼吸する家”を目指した素材選びと設計を大切にしています。
たとえば、内装の仕上げには漆喰を使用しています。
漆喰は、湿度が高いときには湿気を吸い、乾燥すると吐き出すという「調湿性能」を持った自然素材。
また、強アルカリ性の性質によりカビやウイルスの抑制効果も期待でき、空気を清浄に保ちます。
断熱材には、セルロースファイバーを採用。
これは新聞紙などをリサイクルした自然素材系の断熱材で、断熱性とともに優れた調湿・吸音性能を兼ね備えています。
しかも「透湿性」があるため、壁内に湿気がこもらず、内部結露のリスクを減らすことにもつながります。
このように、ビオハウジングでは、単に「断熱性能を上げる」ことにとどまらず、
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湿気と共に生きる素材
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空気が“こもらない”構造
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自然に湿度を整える室内環境
を重視しています。
その結果として、機械に頼らずとも、自然に空気が整う室内環境が生まれ、
一年を通して、過剰な加湿器や除湿機に頼ることのない、**“身体にやさしい暮らし”**を実現できるのです。
家づくりは、ただ「熱を逃さない箱」をつくることではありません。
湿度や空気、そして人の感覚までもが“響き合う空間”をつくること。
ビオハウジングでは、自然素材の力を活かしながら、人が無意識に「心地よい」と感じる環境を、目に見えない部分から設計しています。
家が呼吸を取り戻すことで、住まいは「癒し」と「調和」の器になる。
それが、わたしたちがめざす“自然と共に暮らす住まい”のかたちです。