断熱性能が良い家は快適か?そのデメリット その1

「断熱性能が良い家=快適」というのは、今や常識のように語られています。
たしかに、寒さ暑さのストレスが減り、光熱費も抑えられる——そんな“良い家”を目指すのは当然のことです。
でも本当に、断熱性能を上げるだけで“心地よい住まい”になるのでしょうか?
今回は、断熱性能のメリットはさておき、その裏側にある“見落としやすい落とし穴”にも光を当ててみたいと思います。
1、換気不足による空気のこもり
背景:なぜ換気が重要になるのか?
高断熱・高気密住宅では、外気との隙間風が極端に少なくなります。
昔の家のように、すき間から自然に空気が入れ替わることがなくなったため、「意図的な換気設計」なしでは空気がこもってしまうのです。
つまり、「断熱・気密性能が上がる」=「換気性能の重要性が跳ね上がる」という関係があります。
実際に起こる現象と具体例
現象 | 内容 |
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① 酸素濃度の低下 | 人の呼吸で酸素が減り、CO₂が上昇(特に寝室や子ども部屋) |
② ニオイがこもる | 生活臭、調理臭、建材臭などが滞留しやすい |
③ 空気の質の悪化 | 揮発性有機化合物(VOC)、ホルムアルデヒドなどが抜けにくい |
④ 微生物・カビの増殖 | 湿気や浮遊菌がこもり、カビやダニの温床に |
⑤ 頭痛・眠気・集中力低下 | CO₂濃度の上昇により“軽い酸欠”状態になることも |
⑥ 「空気が重い」「息苦しい」感覚 | 無意識レベルで身体が不快を感じ取る |
住んでからの“違和感”の声
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「窓を閉め切っていると、空気がもわっとする」
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「朝起きると頭が痛い」「子どもが寝起きに不機嫌」
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「お客さんに“におい”を指摘された」
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「新築のにおいが何ヶ月も抜けない」
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「湿気が抜けず、カビ臭くなる時がある」
→ こうした声は、断熱性能に比例して“換気”の失敗が表面化するものです。
原因の一例
誤った換気の例 | 結果 |
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排気ファンが設計風量に達していない | CO₂濃度が基準値を超える |
局所換気(キッチン・トイレ)だけに頼っている | 部屋ごとの空気が偏在 |
フィルターが目詰まり・メンテされていない | 換気量が不足して効かない |
気密施工が甘く、「抜け道」がある | 計画どおりの換気ができない |
窓開けで済ませようとするが通風設計がない | 外気がうまく流れない・温度差の逆効果 |
対策方法(熱交換換気、センサー導入、通風設計など)
対策
対策 | 説明 |
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一種換気(熱交換換気)を導入 | 給気と排気を機械で制御し、外気の温度差も緩和 |
CO₂センサーの導入 | 室内のCO₂濃度をモニターし、空気の質を可視化 |
通風設計・窓の配置 | 機械換気に加え、風が通り抜ける設計も意識する |
調湿・脱臭素材の活用 | 珪藻土、炭、漆喰、調湿クロスなどで補助効果 |
フィルター清掃・定期点検 | 換気システムが正しく働くように保守管理する |
居室ごとの換気バランス確認 | 特に寝室・子ども部屋・在宅ワーク部屋は注意 |
「高断熱・高気密」は、快適な住環境をつくるための“下地”にすぎません。
本当に快適な住まいには、その性能を活かす空気の循環設計が欠かせません。
体感的な“心地よさ”とは、温度だけでなく、空気の清らかさや流れによって生まれるものなのです。しっかりとした、空調(冷房、暖房時の空気の移動を考えた計画がされているか?
また、湿度のコントロールがされていて、夏はサラサラ快適、冬はしっとり快適、なのか?
空調の音はうるさくないか?などなどまだありますが、
当社では、ただ単に高断熱、高気密だけではなく、本当に人がくつろげる住まいを設計しています。
そのために。温度、湿度のコントロールだけでなく、匂い、電磁波、微生物の環境、など考えています。
ぜひご相談、質問などあれば、https://biohousing.jp/contact/ までよろしくお願い致します。